ニック・ファジーカス

前日敗れた島根に対し、39-5のランで突き放す

川崎ブレイブサンダースは敵地で島根スサノオマジックと対戦した。昨日の第1戦では篠山竜青が「オフェンスで一つひとつのプレーに重みが足りなかった。もっと責任感を強く持たなければ」と悔やむ拙攻で、長くリードする展開だったにもかかわらず逆転負け。島根に今シーズンのホーム初勝利を献上してしまった。

今日の第2戦も、立ち上がりは島根が前日の勢いを利して上回る。ニック・ファジーカスに預けるパスを徹底的に狙うことで川崎のリズムを乱し、ロバート・カーター、ブライアン・クウェリの両外国籍選手が日本人選手に負けない走力でトランジションを展開。どの選手もフィニッシュに絡んでいく、アグレッシブかつバランスの良い攻めで川崎を受け身に回らせ、試合開始から3分半で18-8と2桁のリードを奪い、試合の主導権を握ったかに思われた。

しかし、ここから川崎にスイッチが入る。きっかけは藤井祐眞の投入。地元である島根でのゲームに燃える藤井が攻守のプレースピードを上げると、他の選手もこれに呼応。すると第1戦に続きこの試合の立ち上がりでも抑えられていたファジーカスの得点力が爆発する。

藤井の作り出すハイペースにしっかり合わせたファジーカスを軸に得点が伸び始めると、ディフェンスでも今シーズンの持ち味である強烈なプレッシャーが復活。またビッグラインナップでのゾーンディフェンスも効果を発揮した。藤井が攻守にエナジーを注入したのを機に、第1クォーター残り3分半からクォーターをまたいで約10分間を無失点に抑え、その間にファジーカスは15得点を稼ぎ出す。前半終了までの13分半で39-5の驚異のランで一気に試合を決めてしまった。

藤井祐眞

「自分たちのバスケットができた感触がありました」

47-23でスタートした後半、川崎は出足の鋭さでもプレーの強度でも上回る。帰化選手のいない島根はカーターとクウェリに疲労の色が見え、ファジーカスとジョーダン・ヒースの勢いを止められない。第3クォーターを73-39で終えた時点で、島根にもう勝機は見いだせなかった。控えメンバー主体の第4クォーターに大きな動きはなく、87-53で川崎が完勝を収めている。

ファジーカスは最終クォーターでプレーしなかったにもかかわらず30得点13リバウンドの活躍を見せ、「昨日の反省点を修正して跳ね返さなければいけない試合だったので、その点は良くできた」と語る。また、チームにスイッチを入れる役割を果たした藤井は「今日は自分たちのバスケットができた感触がありました。これを今後もやり続けられれば」と手応えを得た様子。

これで川崎は9勝3敗。消化試合数に違いはあるものの、勝ち数でリーグ単独首位となっている。一方、島根は第1戦で見せた粘り強さを発揮できなかった。第1戦にすべてのエネルギーを注ぎ込んだ結果であり、川崎相手に1勝できているため及第点以上ではある。しかし、連戦の2試合目でパフォーマンスが落ちる傾向はすでに出ており、今後の長いシーズンで勝ち星を伸ばすためには改善すべき課題となっている。

11月3日のB1 7試合の結果
富山64-85琉球
島根53-87川崎
横浜79-58滋賀
新潟71-60名古屋D
三遠70-87大阪
三河89-91SR渋谷
千葉88-61京都