写真=野口岳彦

長谷川監督「日本にとって非常にプラスになる」

今日から男子日本代表は五輪世界最終予選(OQT)に向けた合宿をスタートさせた。初日の今日はメディア公開日。NBLファイナルを3日前まで戦っていたアイシン三河と東芝神奈川の選手は休養のため不在となったが、残る選手たちが調整に汗を流した。

注目はジョージ・ワシントン大でプレーする22歳の渡邊雄太。高校2年だった2011年に初選出され、すでに日本代表での経験を積んでいるが、アメリカに活動の拠点を移した今は限られた機会しか代表に参加できていない。この2年間は1年前の合宿参加のみで、代表から遠ざかっていたが、今回は大学側とのスケジュール調整が付き、最長でリオ五輪まで代表活動ができることになった。

長谷川健志ヘッドコーチは、渡邊への期待、彼がチームに加わる意義についてこう語っている。

「日本は、ビッグマンと言っても竹内(譲次)選手と太田(敦也)選手。今回はケガで外れた荒尾(岳)選手も含めて、ベテランに近付いている。2メートル10センチ以上あるわけでもないし、フィジカルが相当強いわけでもない。その中で3番ポジション、スモールフォワードのところを少しサイズアップしたいというのが私の考えです」

「そこに渡邊選手が入れば、リバウンドやブロックショットで脅威を与えられます。彼は高さだけではなくどんな選手にもマッチアップできるスピードもあります。オフェンスの走力もシュート力も、まだこれからアップさせられます。彼のオールラウンダー型というのは、日本にとって非常にプラスになると思います」

長谷川ヘッドコーチは2月後半から3月にかけてアメリカでの渡邊のプレーを視察している。「出場時間も自分で獲得しています。高さもあって足もあるということで、私の印象では彼がジョージ・ワシントン大学のディフェンスのキーマンになっている」

世界最終予選まで十分な強化時間がない中、長谷川ヘッドコーチは初日から渡邊にも熱のこもった指導を行った。

渡邊の本格参戦で日本代表が変わる

期待が大きいだけに、要求のレベルも高い。「アメリカと日本代表チームではバスケットのやり方が多少違うので、アメリカにはない、彼があまりやっていないようなプレーをまた日本でやってほしい。フィジカルの部分もまだまだ。体重が86キロか87キロなので、フィジカルの部分は上げていかないと。プレーは体から生まれます。体をもっとしっかり作らないと技術の成長もありません。そこはもう少し時間をかけて作っていかなければいけないと思っています」

まずはコンディションを整えること、そして日本代表のバスケットボールに適応すること。課題はまだ多いが、203センチのスモールフォワードに掛かる期待は大きい。トレーニングでは流れの中でたびたびダンクを決め、練習後には報道陣の前でもダンクを披露するなど、スケールの大きさを見せ付けた。渡邊の本格参戦で日本代表がどう変わっていくか、これからOQTまでの1カ月が楽しみだ。