終盤に追いつかれるも、気持ちを切らさず勝ち越し
富山グラウジーズvs宇都宮ブレックスの第2戦。第3クォーターに抜け出した富山は終盤に追いつかれたものの逆転を許さず、最後までディフェンスが機能。3点リードで迎えた最後のポゼッションでも、渡邉裕規にタフショットを打たせゴールを死守し、72-69の接戦を制した。
先行したのはホームの富山。宇都宮の低調なシュート精度にも助けられ失点を防ぐと、ダニエル・オルトンがミドルシュートや速攻から得点し、開始6分で13-4と先行した。
だが、どこからでもボールに手が伸びてくる宇都宮のディフェンスに苦戦しターンオーバーがかさんだ。第1クォーターだけで6個のターンオーバーを犯しリズムを失うと、比江島慎の3ポイントシュートや竹内公輔の速攻を許し、15-14と反撃を受けた。
第2クォーターに入っても守り合いの展開が続く。宇都宮のディナイディフェンスに手を焼き、ボールが回らずショットクロックが少なくなったところでシュートを打たされるが、ハリーバックを徹底して速攻を防いだ。また、ズレを作られるもドライブを選択させ、ヘルプが確実にシュートチェックに行くことでタフショットを強いり、失点を最小限にとどめた。
当たりがなかった遠藤祐亮に3本連続で3ポイントシュートを決められるなど、一時逆転を許したが、葛原大智も3ポイントシュートを入れ返して一歩も引かない。ターンオーバー数は富山が10、宇都宮が8と互いにミスが目立つ展開となる中、37-37とまったくの互角で前半を終えた。
後半に入り、船生誠也と前田悟が連続で3ポイントシュートを沈めるなど、得点ペースが一気に上がる。攻めあぐねるものの、時間をかけて辛抱強くオフェンスを遂行することで主導権を渡さなかった。ボールハンドラーを担った宇都直輝はタフなディフェンスに苦しめられターンオーバーも犯してしまうが、果敢にアタックして打開し、決定的なアシストパスを何本も送った。残り3分19秒には、その宇都がドライブから初得点を決めて点差を2桁に乗せた。
殊勲の宇都「周りを使って組み立てられたのが良かった」
富山が9点をリードして最終クォーターを迎えるが、7連勝中の宇都宮が地力の強さを見せる。ディフェンスのギアを一段上げ、ズレを作らせず、フリーをまったく作らせないで失点を防ぐ。オフェンスでは、連動した動きからミスマッチを作り出し、ライアン・ロシターがフィニッシャーとなって得点していく。
そして、約5分間フィールドゴールをライオンズのシュート1本に抑え込んだ宇都宮は、比江島のドライブに合わせた竹内がレイアップを沈め、64-64と追いついてオフィシャルタイムアウトを迎えた。
レオ・ライオンズがショットクロックと同時に放ったタフな3ポイントシュートを成功させて勢いに乗ったが、残り1分30秒に比江島の3ポイントシュートを浴び、同点に追いつかれた。
終盤に追いつかれたことで、集中力が切れてもおかしくない場面だったが、富山は逆に集中力が増した。宇都が比江島の裏を突き、ライオンズがそのタイミングを見逃さずパスを供給。宇都のレイアップが決まり再び勝ち越すと、直後のディフェンスでは比江島のターンオーバーを誘発した。
ライオンズが比江島にマッチアップしパスを選択させると、素早いディフェンスローテーションでズレを作らせず、待ち構えていたオルトンがロシターの1on1を防ぐ。そして、最後までこのディフェンスが機能し、ラストポゼッションも渡邉に後ろに流れながらのタフショットを打たせて、逃げ切りに成功した。
富山の指揮官、ドナルド・ベックは「昨日より確実にディフェンスが良く、ハードワークしていた。今日はチーム全体でつかみ取った試合だった」と、総括した。
チーム最多の7本のアシストを記録し、勝ち越しシュートを決めた宇都は「チームでバスケットすることを意識した」と、指揮官同様にチームでの勝利と強調した。また、「ディフェンスを強くしてくることは分かっていたので、周りを使って組み立てられたのが良かった」と、第1戦で26得点を挙げたことを布石とし、ゲームコントロールを重視したと勝因を語った。
富山は大黒柱のジョシュア・スミスが右膝蓋腱断裂の重傷を負い、戦列を離れた。スミスの代役として期待されるダニエル・オルトンは15得点12リバウンドの活躍を見せた。
東地区首位の宇都宮を撃破したことはチームにとって自信になるはず。苦しい状況で黒星が先行しているが、浮上のきっかけとなる試合になったはずだ。
10月27日のB1 9試合の結果
SR渋谷91-71川崎
富山72-69宇都宮
秋田71-68滋賀
京都71-69新潟
琉球98-87三遠
千葉101-63島根
A東京99-95三河
名古屋D77-74横浜
大阪60-69北海道
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