文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

「みんな一つの目標に向かって進んでいける選手でした」

今日、女子日本代表の12名の内定選手が発表された。だが、その背後には涙とともにチームを去った者もいる。

この2週間、フランスとベラルーシを転戦した欧州遠征はサバイバルレースの場でもあった。これまで18名でチーム強化を進めてきた日本代表だが、今日で6名がチームを去ることになったのだ。

今朝帰国した日本代表のメンバーは、都内のホテルに入った。そこで内海知秀ヘッドコーチから内定者の名前が発表され、外れた者はそのまま荷物をまとめて去り、残った者は内定選手発表の会見に参加した。

「五輪でメダルを取る」という同じ目標のために頑張ってきたチーム内で当落が決まる──。発表直後はチームが暗い雰囲気に包まれてしまい、三屋裕子副会長から「競争社会なのだから、そういうものに打ち勝って前に向かって行け」と叱咤されたそうだ。

この時の状況とチームを去ることになった仲間たちへの思いを、間宮佑圭が語ってくれた。「何も聞かされないままみんなでお昼を食べて、その後に一人ひとり名前を呼ばれました。ちょっとどころじゃなく暗い雰囲気になりましたね。やっぱりつらいものはあります。去年一緒にアジアを戦った選手が、今ここにいないんだと思うと。本人の気持ちも考えますし」

これまで18人で作り上げてきた日本代表は良いチームだと、間宮は言う。「若い選手もいたので、手を貸してあげようと最初は思っていたんですが、みんな一つの目標に向かって、同じ方向に進んでいける選手でした。良い意味で私も自分だけに集中できたと思います」

「落選した6人が私たちに声を掛けてくれて。後はもうハグして、みんな涙でボロボロですよ」

間宮にとって特に印象的だったのは、山本千夏の落選だった。「山本の涙というのはちょっと……。中学高校と一緒にやってきた後輩でもありますし。言葉という言葉は交わしていないのですが、グッとハグして」

「でも、私がいくら慰めても仕方がないです。そこを立ち直ってバスケとまた向き合う、それは本人のことなので。今ここで何を言っても仕方ないです。最後はポンポンと背中を叩いてきました」

12名に絞られた日本代表は、しばしのオフを挟み、来週後半から再び海外遠征(チェコ)へと旅立つ。

「立ち直ってバスケとまた向き合う、それは本人のことなので」と間宮は語る。