
様々なポジションを通じて得た経験と可能性
今オフにENEOSサンフラワーズへ移籍した今野紀花のポジションはスモールフォワード登録となっている。昨シーズン所属したデンソーアイリスでは、そのポジションの通りに得点だけでなくリバウンドでも貢献し、優勝メンバーの一員となった。だが、女子日本代表ではシューティングガードで登録され、特にコーリー・ゲインズ体制となってからは多くの役割を求められてきた。
ゲインズ体制の初陣となった『FIBA女子アジアカップ2025』ではポイントガードを任され、準々決勝のニュージーランド戦では13得点2リバウンド4アシスト、準決勝の中国戦では14得点3リバウンド4アシストを挙げ、準優勝に貢献した。本職ではないポジションでのプレーを求められたことに驚きはしたが、それが現在の糧になっていると語る。「急にやることが変わりましたが、そんなに違和感はありませんでした。ただ自分の中で慣れてないことも多く緊張もあったので苦労はしましたが、そこに挑戦することは楽しかったです。そういう機会をもらえて感謝しています」
そして、今年の3月に行われた『FIBA女子ワールドカップ2026予選トーナメント』では本来のシューティングガードとしてプレーし、カナダ戦では本戦出場を引き寄せる値千金の3ポイントシュートを沈めた。元々、今野はミドルレンジシュートを得意とし、3ポイントシュートを打つタイプではなかった。しかし、女子日本代表の代名詞となっていた3ポイントシュートを主軸としたバスケットスタイルと、ゲインズヘッドコーチから「なぜ打たないのか?もっと打ってほしい」という言葉をかけられたことを受けて気持ちに変化が起きたと言う。
「コーリーになってから、スリーを打つことが普通じゃなかった時を思い出せないぐらい普通になっちゃいました(笑)。高校の時はそんなにスリーを打たない選手だったので成長というか良い変化だなと思っています」。ワールドカップ予選では66.7%と高確率で決めることができたが、Wリーグのレギュラーシーズンでは27.6%と課題は残っており、精度アップは今後の目標の一つだ。
そして進化を求めるゲインズヘッドコーチは、2ポイントシュートの重要性にも言及しており、これは今野にとって追い風になりそうだ。メディアに公開された練習では、チームメートが3ポイントシュートを中心にシューティングする中で、今野はミドルレンジシュートを織り交ぜたシューティングを行っていた。
「(ゲーム形式の練習で)自分が得意なステップバックを打てば『ナイスプレー』と毎回言われるので、こういうことを試合でやっていけば良いんだなと、理解しています。私はシューティングガードがナチュラルポジションで一番強みを出せると思っていますが、スリーの確率では他のプレーヤーに劣っています。自分のプレースタイルとしてペイントエリアを切り裂くこと、ミドルレンジを狙っていくことは合っているので、その部分でアピールしていきたいですね」
今野は国際大会という高いレベルの中で多くのポジションを経験し、打つことの少なかった3ポイントシュートも向上させてきた。また、バスケットの主流の変化によって、得意としていたミドルレンジが再び脚光を浴び始めた。今野の原点回帰は、ゲインズジャパンが掲げる『ペース&スペース』の進化を加速させる。