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「レナードはレナードから点数を奪えない」

どんなスポーツにも得意、不得意はあり、オールラウンダーと呼ばれる人間でも、細かな優劣はつくはずだ。とりわけ攻撃と守備が明確に分かれているスポーツほど、攻撃のほうが好きだったり、守備のほうが苦手といった具合に偏りが表れる。

バスケットボールの神様と呼ばれるマイケル・ジョーダンは、得点王を10回受賞し、歴代1位の平均30.12得点を挙げるオフェンス力が魅力なのは言うまでもない。だがジョーダンが『神様』と呼ばれるまで評価されたのは、ディフェンス力も兼ね備えていたからだ。

オールディフェンシブファーストチームに9度選出され、1988年にはMVPと最優秀守備選手賞の同時受賞もしている。

そのジョーダンが、今のNBAで最もハイレベルに攻守両面でプレーできるスパーズのカワイ・レナードを高く評価している。自身が主催するバスケットボールキャンプで「レナードはレナードから得点を奪えると思いますか」と子供たちに問いかけ、「僕は無理だと思っている」と発言。得点力もさることながらディフェンス力も脅威であるとジョーダンは主張し、「現在の2wayプレーヤーとしては彼がベスト」とベタ褒めした。

レナードは毎年スタッツを向上させ、昨シーズンはキャリアハイの平均25.5得点を記録した。またこれまでに2度最優秀守備選手賞を受賞し、2年連続でMVP投票のトップ3に入るなど、攻守両面での貢献度は抜群。ジョーダンをして「ベスト」と言わせるのもうなずける。

昨シーズンのプレーオフ、レナードはウォリアーズとの西カンファレンス決勝第1戦に足首を負傷し、途中交代を余儀なくされた。それまで最大で25点のリードを奪っていたスパーズは、攻守の要を失った途端に崩れ、大逆転負けを喫した。それは百戦錬磨のスパーズが崩壊してしまうほどの影響力を、レナードが持っていたことを意味している。

「レナードはレナードから点数が奪えない」とジョーダンが表現した、その高いディフェンス力に注目するのも一興だ。そして、ジョーダン、アキーム・オラジュワン以来となる、MVPと最優秀守備選手賞の同時受賞の実現に注目したい。