文=鈴木健一郎 写真=FIBA.com

攻守両面で運動量で圧倒、日本が序盤から主導権を握る

U-19ワールドカップ準々決勝、日本は出だしから素晴らしいパフォーマンスを見せてスペインを一蹴。95-71と大勝して準決勝へと駒を進めた。

日本のスタートは澁谷咲月、髙原春季、赤穂ひまわり、馬瓜ステファニー、梅沢カディシャ樹奈。先制点こそスペインに許すが、馬瓜が単独のドライブからレイアップを沈めると、素早くボールを動かしながらも、最後は個人が責任を持って迷わずフィニッシュに持ち込むオフェンスが機能する。またディフェンスも足を使ってピック&ロールに対応し、ペイントへのドライブを許さない。プレッシャーのかかる中で打たせるミドルシュートがことごとく外れ、リバウンドを拾った日本は素早く攻撃へと切り替えてスペインを振り回した。

開始5分、日本が11-0のランで圧倒し始めたところでスペインはたまらずタイムアウトを要求。これでランは途切れるも日本の優位は動かず。ゴール下の圧力を強めることで打開を図るスペインにオフェンスリバウンドを取られても、そのままゴール下で打たせずにボールを下げさせ、イージーシュートの機会を与えなかった。

第1クォーターを21-13とリードした日本は、なおも攻勢を強める。セカンドユニットになっても出場し続ける馬瓜がボールの収まりどころにして、笠置晴菜と藤田歩が素早いパスワークでスペインを翻弄。約3分半で11-4のラン、この時点で32-17となりスペインが再びタイムアウトを取る。ただ、スペインに打つ手はなかった。ファウルがかさんで激しく行けない上に、前半終了間際には日本のスピードに振り回され続けて走れなくなった。この隙を日本は見逃さずリードを広げ、最後は宮下希保が鮮やかな速攻を決めて46-25と点差を20点台に乗せて前半を終える。

しつこいディフェンスから速攻に転じてリードを広げる

後半は日本にもやや疲れが見え、ゴール下でのディフェンスの強度が落ちてきたところをスペインに突かれたシーンも見られたが、オフェンスはさらに勢いを増す。しつこいディフェンスでボールを奪うとすぐさま走り、イージーシュートのチャンスを作って得点を重ねていく。そしてスペインを苦しめたのがフリースローだ。日本は積極的にリングにアタックしてファウルをもぎ取り、スペインはどのクォーターでもファウルがかさんだ。そして日本は18本のフリースローをすべて沈めている。特にセンターの梅沢は5本すべてを決めた。

第3クォーター終了時点で72-45の大差が付き、試合の趨勢は決していた。終わってみれば95-71の圧勝。U-19日本代表は『難なく』世界の4強入りを果たしている。

宮下と髙原がよく走ってゲームハイの15得点。12得点の馬瓜はシュート確率こそ悪かったが身体を張ってペイントエリアを守り、攻撃ではボールの収めどころとなって日本のパスワークを支えた。スタッツで語るべきは個人ではなくチームだろう。高さで勝るスペインを相手にリバウンドで46-42と上回った。2点シュートの確率はスペインの37.3%(59本中22本)に対し日本は56.4%(55本中31本)と圧倒。そしてファストブレイクポイントが30-8と、ここで最も大きな差が出た。

これで日本はU-19カテゴリーでは初となる世界ベスト4進出。開幕から5戦全勝と破竹の勢いではあるが、次の相手はアメリカで、苦戦が予想される。これまで日本の試合は早い時間に行われてきたが、イタリア時間の今日21時、つまりは『大トリ』の舞台に立つ。日本時間では明日早朝4時に試合開始となる。