八村不在のチーム、強い意志で牽引した渡邊
バスケワールドカップ、ここまで5連敗の日本代表が最終戦のモンテネグロ戦に臨んだ。
日本代表の先発は安藤誓哉、田中大貴、渡邊雄太、竹内譲次、ニック・ファジーカス。渡邊の4連続得点で良い入りを見せたかと思えば、そこから9連続失点と安定しない。攻めでは積極的にドライブで仕掛けるものの、かわしたと判断して放つシュートが止められる。開始6分で6ブロックショットを浴びた。リムプロテクターとして立ちはだかったのは、かつてアルバルク東京に所属したミルコ・ビエリツァ。元チームメートの誓哉、譲次のレイアップを立て続けにブロックして、ディフェンスからモンテネグロにリズムをもたらした。
劣勢の中で日本を引っ張ったのは渡邊だった。積極的なアタックでフィニッシュに持ち込み、またファウルを誘って得たフリースローを決めて8得点。第1クォーターを終えて16-26。苦しみながらも何とか10点差で踏み止まるという内容だった。
第2クォーター、セカンドユニットの馬場雄大が果敢なドライブから得点を奪い、渡邊も引き続き強引にシュートを沈め、24-26と点差を縮めてモンテネグロにこの試合最初のタイムアウトを取らせる。ただ、そこから追い付き、追い越すには至らず。高さとフィジカルで優位にある相手を止めるためにゴール下に人数をかけるが止めきれない。比江島慎のターンオーバーからワンマン速攻を許し、33-40で前半を終えた。
後半開始からフリースローで得点を重ねて、渡邊が強引なアタックからバスケット・カウントの3点プレーを決めて41-42。相手の3ポイントシュートを浴びるも渡邊の勢いは止まらず、ファジーカスのスクリーンを使ってのボースハンドダンクを決めて45-45、ついに追いついた。
個々に光るプレーはあったが、いずれも単発
このプレーで右手の指を痛めた渡邊が、そこまで24分フル出場を続けていたこともありベンチに下がる。それでも直後に馬場が迷わずリムにアタックしてファウルを誘い、安藤がぽっかりと空いたミドルレンジからのジャンプシュートを決めてバスケット・カウントをもぎ取る。
苦しい時間帯を踏ん張って、ベンチで一呼吸置いた渡邊がコートに戻り一気に逆転、と行きたいところだったが、実際は逆の展開に。ずっと入らなかったアウトサイドからのシュートがようやく当たり始めたモンテネグロに突き放され、51-61と10点差で最終クォーターへ。そして、試合開始から100%の力で攻守を引っ張ってきた渡邊は、ベンチで一呼吸を置いたことで勢いを失ってしまった。入り続けてきた渡邊のシュートが外れるようになると、点差は離れていく。
渡邊のスティールから速攻に持ち込んで馬場のフィニッシュ、ファジーカスのリバウンドから馬場の速攻と良いプレーは出るが、相手の3ポイントシュート、オフェンスリバウンドからのキャッチ&シュートとイージーな失点が続く。馬場のダンクが背後からブロックされるなど、守備でのビッグプレーが出たのはモンテネグロの側。残り2分、完璧なドライブからのキックアウトで3ポイントシュートを決められ、59-78となったところで勝負あり。フリオ・ラマスは最後のタイムアウトを使うも、流れは変えられず。
大会最終戦で初勝利をつかんだのは、日本ではなくモンテネグロだった。最終スコア、日本65-80モンテネグロ。日本代表は個々に光るプレーはあったものの、いずれも単発。未勝利のまま大会を去ることとなった。