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ドレイモンド・グリーン「最も止めにくい選手の一人」

スパーズのシューティングガード、マヌ・ジノビリが来シーズンもスパーズでプレーする可能性が高いと、『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキーが伝えた。昨年の年棒は1年1400万ドル(約16億円)、シクサーズから2年3000万ドルのオファーがあったにもかかわらず、ジノビリはスパーズ愛を貫いた。

2002年にスパーズでNBAキャリアをスタートさせたジノビリは、攻守両面で活躍し、ルーキーイヤーにして優勝を経験。その後、2005、2007、2014年の4回の優勝に貢献した。

また2004年のアテネ五輪ではアメリカを撃破し、アルゼンチンに金メダルをもたらした。さらにNBA入りする前にはセリエAで優勝し、ユーロリーグを制覇している。このユーロリーグ優勝、オリンピック金メダル、NBAチャンピオンの3冠を達成したことがあるのは、バスケットボール殿堂入りを果たしているビル・ブラッドリーとジノビリの2人だけだ。

チームメートのダニー・グリーンは偉大なベテランをこう称えている。「彼は試合に勝つために必要なことをやっていて、僕らに勢いを与えてくれる。彼のパスや動きなど、彼がやっているすべての動きを見て、スポンジのように吸収しようとしたんだ。彼は簡単そうにやるけど、実際はすごく難しい」

グリーンの言う「簡単そうに見えて難しい動き」の一つに『ジノビリステップ』がある。ドライブ時に見られる独特なステップワークで、鋭角な左右への方向転換によりマークマンを手玉にとった。その後、ドウェイン・ウェイドやジェームズ・ハーデンも多用するようになり、『ユーロステップ』という名前で一般化したが、このスキルを生み出したのはジノビリだ。

7月28日で40歳を迎えるジノビリに全盛期のキレはない。衰えは隠せず、昨シーズンは平均得点では過去最低の7.5にとどまった。それでも西カンファレンス決勝のウォリアーズ戦では、第3戦で21得点、第4戦で15得点を挙げ、ここ一番で輝きを放った。

思ったことをそのまま口に出すことで有名なドレイモンド・グリーンでさえ、「彼のタンクにはまだまだエネルギーが残っている」と称賛した。「彼はフロアの責任者なんかじゃなく、得点のできる最高のプレーヤーだ。ジノビリとクラブにはまったく驚くぜ。今でも最も止めにくい選手の一人さ」

スパーズはティム・ダンカンが引退し、トニー・パーカーも衰えを見せ始め、カワイ・レナードを中心とした新チームへの移行時期にあることは間違いない。それでも、ジノビリの老獪なプレーは健在であり、ジノビリファンにとっては朗報となった。