「何よりもマッチアップを見つけるのが遅かった」
9月7日、バスケットボール日本代表はワールドカップ順位決定戦でニュージーランドと対戦し、81-111と大敗を喫した。精細を欠いたチームとともに、先発出場を果たした比江島慎も6得点2アシストと、らしさを見せることなく終わってしまった。
「良いオフェンスで終われなかったですし、コンタクトが足りなかった。もっと激しくやれば良かったと思います」。比江島はこう試合を振り返る。その上で、今日のゲームで日本に欠けていたものを「相手がやることは分かっていたにもかかわらずやられてしまった。もっと身体を張らなきゃいけなかったですし、第一はメンタル的なところで話にならなかったです」と言う。
今大会、日本は相手に3ポイントシュートを簡単に打たれて失点を重ねてきた。今日の相手のニュージーランドは大会屈指の3ポイントシュートを主体とするチームで、日本にとって相性は最悪に近い。ただ、8月に調整目的の親善試合とは言え、ニュージーランドとは2度対戦しており、知らない相手ではなかった。
しかし、それでもこの試合では3ポイントシュート33本を打たれ18本が成功(成功率55%)と高確率で決められた。「日本だったら打たれない距離でやられてしまっている感覚もあります。世界だったらもう一歩詰めないといけないところができていない。そこには、アメリカに代表されるように相手のスピードが速い分、抜かれる恐怖心もあっていつもより少し下がって守備をしてしまっているかもしれないです」と比江島は振り返る。
「良いオフェンスで終われなかったことで戻りが遅れて、何よりもマッチアップを見つけるのが遅かった。相手の1人をこちらは2人で守ってしまう。ボールマンに2人で行ってしまったりと、細かいコミュニケーションが僕を含めて取れていませんでした」
「運動量だったり気迫だったりで上回ることが大事」
一方で、オフェンスにおいても個で打開しようとする意識が強くなりすぎてコンビネーションが欠けていると比江島は言う。
「もっとボールを動かさないとズレが生じないですし、相手も守りやすい。まずは、そこをどうにかしないと、このままズルズルいってしまう。みんなが点を取ろうという意識が強すぎるというのも事実で、僕自身も含めてもっとチームのためにといった意識でやる必要もあるんじゃないかと思います」
ワールドカップは来年の東京オリンピックへと続く過程にある大会というのが、チームの共通認識だ。だからこそ、このままズルズルと悪い流れで終わることは絶対に避けないとならない。
1年後に向けて重要な踏ん張りどころとなる明後日のモンテネグロ戦に向け、「何としても次の試合までに切り替える。それが一番大事だと思います」と比江島は、今まで以上に自分が率先して戦う決意を語る。
「今日はメンタル的にみんな暗かったです。今さらではありますけど、そこは自分がより引っ張っていかないといけない。まずは戦う意志を見せること、何よりも運動量だったり気迫だったりで上回ることが大事。まずはそこからだと思います」
この取材中、比江島は何度も「話にならない」という言葉を使った。この自分たちの不甲斐なさへの怒り、悔しさを明後日のコート上でぶつけ、爆発する姿を待ちたい。