文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一

サイズに勝る相手に完勝、『走るバスケット』を展開

アジアカップを控えた女子日本代表がオランダとの国際強化試合を戦った。ウイングアリーナ刈谷のコートに立ったスタメンは吉田亜沙美、近藤楓、長岡萌映子、宮澤夕貴、大﨑佑圭。WNBA参戦中の渡嘉敷来夢が招集されず、髙田真希も左ふくらはぎの筋肉を傷めており回復を優先して欠場となったが、立ち上がりの数分の動きが重かっただけで、あとはFIBAランキング外のオランダを圧倒する。

前からプレッシャーをかけてパスコースを消し、それだけでなくオフ・ザ・ボールのマッチアップでもポジション取りで先手を取ることで相手のオフェンスを遂行させない。最初の4分半で12-0と圧倒する。

第2クォーターには吉田からのホットラインで長岡のランニングプレーが何度も炸裂。「リバウンドも考えなければいけないけど、行けると判断したらすぐ走ります。簡単に2点を取るのが大事なので」と長岡。第2クォーターで長岡は10得点、「後半に勢いが落ちてしまったので……」と満足はしていなかったが、海外遠征から続く好調をファンの前であらためて印象付けた。

長岡と並んでゲームハイの15得点を挙げたのはセンターの大﨑。目立ったのは得点以上にディフェンスで、身長で10cm上回るリシェレ・ファン・デル・ケイルとのマッチアップに完勝。大きな相手をペイント外に押し出し、高さの利を相手に活用させなかった。

「素晴らしいバスケット、これをファンに見せたかった」

前半を42-23と大量リードで終えた日本だが、ヘッドコーチのトム・ホーバスは手綱を緩めない。「スコアより自分たちのプレーを考えよう」と指示。質の高いバスケを引き続き追求させた。そして第3クォーター、激しいディフェンスで相手のミスを誘っての『走るバスケ』を存分に披露して71-35とリードを広げると、第4クォーターは先発の5人が出場せず。セカンドユニットだけで10分間を戦い20-7とさらにリードを広げ、91-42で完勝した。

試合を終えてトムヘッドコーチは「49点差で勝ったけど、収穫も課題もあった」と語る。特に前半に「オフェンスのスペーシングが前半足りなかった」と言いつつも、第3クォーターのパフォーマンスは「楽しい、素晴らしいバスケット。これをファンに見せたかった」と絶賛した。

ウイングアリーナ刈谷に集まった2289人は、リオ五輪から継続し、さらに進化する女子日本代表のバスケットを堪能した様子。アリーナの雰囲気は非常に良く、キャプテンの吉田は「まだミスもあって、自分たちのバスケットが完璧にできたわけではない」と語りつつも、会場の盛り上がりについては「非常にありがたいし、もっともっと良いプレーを見せてバスケットを好きになってもらいたい」と満足気。トムヘッドコーチも「オランダのコーチも会場の雰囲気を褒めてくれた。お客さんに感謝したい」と語る。

明日も同じウイングアリーナ刈谷でオランダとの2戦目が行われる。