クリッパーズはブレイク・グリフィンまでも失う危機に
フリーエージェント選手との交渉が解禁される7月1日を目前に控え、NBAの戦力図に大きな影響を与えるトレードが成立した。
6月28日、クリッパーズとロケッツとの間で成立したトレードにより、現役最高レベルのポイントガードであるクリス・ポールがロケッツに移籍。その見返りとして、クリッパーズはロケッツから7選手と2018年のドラフト1巡目指名権を獲得した。
数日前の時点では、ポールは来シーズンのプレイヤーオプションを破棄してフリーエージェントになるという意思をクリッパーズに伝えたと言われていた。だが、『LA Times』のクリッパーズ番記者ブラッド・ターナーによれば、ポールはチームとの話し合いの場でロケッツへのトレードを希望。一度は破棄すると決めたオプションを行使することにし、今回の大型トレードが成立したというわけだ。
ターナー記者は、クリッパーズのヘッドコーチと球団社長を兼任するドック・リバースのコメントをTwitterで紹介している。リバースは、ポールの貢献に感謝を表すとともに、今回のトレードについて「彼が退団したのは、ジェームズ・ハーデンとのプレーを望んだから」と明かした。
スパーズへの移籍の可能性も報じられていたが、ポールはカワイ・レナードやラマーカス・オルドリッジとではなく、現代トップレベルのスコアラーとして知られるハーデンとのプレーを希望した。そしてクリッパーズは、何の見返りも得られず看板選手を失うことを回避するため、ポールの希望を叶えた。
今回のトレードで驚かされたのは、両チームの決断の速さ。通常ならば、噂として報じられてから決まるケースが多い中、両チームによるトレードを嗅ぎ付けたメディアは皆無だった。
いずれにしても、クリッパーズは昨シーズンまでのチームを解体せざるを得なくなった。ポールと同様に来シーズンの契約がプレーヤーオプションになっているブレイク・グリフィンは、それを破棄してフリーエージェントになると見られ、複数のチームが関心を示している。また、先発シューティングガードしてチームの得点源の一人だったJJ・レディックもクリッパーズとの契約を満了しフリーエージェントになる。
グリフィンとポールが揃ってから6年、クリッパーズは西カンファレンス準決勝の壁を一度も破れなかった。プレーオフでの主力離脱に加えて、運に恵まれなかったシーズンもあったが、結果を残せなかったのは事実。ポールは優勝の可能性を模索し、移籍を選択した。ボールを保持してペースを作るスタイルが似ているハーデンとの共存、そしてリーグトップクラスのハイペース・オフェンスに対応できるかどうかについては課題となる。しかしポールは、現状を打破するため、ハーデンとの新コンビ結成に賭けたのだ。
ポールに続いてグリフィンとレディックも失ってしまえば、クリッパーズは再び低迷期を迎え、暗闇の中を彷徨うことになりかねない。今回のトレードによりクリッパーズが受ける余波は、決して小さくない。