ヤクセル・レンデボーグ

カリー黄昏時代の切り札、即戦力として最も論理的な選択

ウォリアーズはNBAドラフトの1巡目11位で、ミシガン大のヤクセル・レンデボーグを指名した。身長206cm、体重109kgにウイングスパン222cmと恵まれた体格を持ち、GMのマイク・ダンリービーJr.は「1から5番まで守れるフォワードで、スモールボールのセンターもこなせる。ボールハンドリングによってはガードの役割も担える」とその万能性を高く評価する。

レンデボーグは今年の1巡目指名選手では最年長で、開幕を24歳で迎える。ジュニアカレッジで3シーズン、アラバマ大学バーミンガム校で2シーズンを過ごしてからミシガン大に転校。今シーズンはビッグ10のMVPに輝き、NCAAトーナメント優勝を達成した。

今年のドラフトは『豊作の年』と呼ばれ、ワン&ダンの年代にポテンシャル型のタレントが多かったが、ウォリアーズはあえて即戦力型のレンデボーグを選んだ。これまで10代の若手を指名しても、ベテラン揃いのロスターと高度に成熟した戦術の中で、ジェームズ・ワイズマンやジョナサン・クミンガを育てられなかった。さらに38歳のステフィン・カリーに残されたチャンスを最大限に生かす意味でも、育成に時間のかかるポテンシャル型を避ける必要があった。

レンデボーグにはミシガン大に転校せず、1年早くNBAに挑戦する可能性もあった。そこでミシガン大を率いるダスティ・メイに「君をロッタリーピックにする」と口説かれたことでドラフトエントリーを撤回。その結果、全米制覇を成し遂げ、1年前は1巡目後半と予想されていた指名順位が11位まで上がった。「彼の言葉を信じて良かった」とレンデボーグは語った。「結局、彼はモレズを指名したけどね。これで誰が彼のお気に入りかはっきりしたので、僕らはみんな気分が悪いんだ(笑)」

ミシガン大をNCAAトーナメント優勝に導いたメイはマーベリックスのヘッドコーチに転身。それを知った時は「膝から力が抜けた」とレンデボーグは言う。マブスの1巡目9位で誰が指名されるか、ミシガン大のチームメートは息を殺して見守ったが、選ばれたのはモレズ・ジョンソンJr.だった。

「モレズは『僕が最後に指名されるだろうな』なんて言ってたのに、一番最初にメイに指名された。しばらく食事に行く時は彼の奢りだよ」とレンデボーグは冗談を言い、恩師への感謝をあらためてこう語った。「ミシガン大という選択は、人生で最高の決断だった。この1年で僕は選手として、また人間としても成長した。プロとしての良い習慣を身に着けられた。そのおかげで精神的にも身体的にもNBAに行く準備ができたと感じている」

ウォリアーズの一員として初めて臨んだ会見では、レンデボーグの正直すぎる発言も話題になった。このチームのルーキーが必ず聞かれる「ステフと一緒にプレーする感想は?」という質問に「2016年の時点で、僕はカイリー・アービングの大ファンで、カリーのことが嫌いだった」と答えた。笑顔でそんなエピソードを語るルーキーに、ウォリアーズはロッカールームでカリーの隣を与える『プレゼント』を送っている。

『ステフ王朝』末期に加わった即戦力のタレント。オールラウンドな能力を持つだけに、スティーブ・カーが彼をどう起用し、どんなプレースタイルへと成長させるかは非常に興味深い。