初のポイントガード起用も上々のパフォーマンス
バスケットボール日本代表はニュージーランドとの国際試合に99-89で勝利した。渡邊雄太が欠場したが、八村塁が35得点、ニック・ファジーカスが21得点と大黒柱が期待通りの活躍を見せたことが、このハイスコアリングゲームでの勝利に繋がった。
日本代表の現在地を知る意味で注目度の高い試合となった。その中でもポイントガードと起用された田中大貴のパフォーマンスにも注目が集まった。
「ピック&ロールから点数が取れ、アタックもできる。そこから良いパスを出せると思っている」と話す田中は約26分のプレータイムを与えられ、9得点3リバウンド5アシストを記録した。
ズレを作ってパスを供給することでチャンスを作り出すのが一般的なポイントガード像だが、田中はパサーに専念するつもりはない。「一歩引くという感覚は特にないです。ただ、自分が引きつけられれば良いと思っています。その引きつける力は他のポイントガードよりも秀でているところだと思うし、アルバルクでもやっていることなので、そこの持ち味を出していければ」
田中のポイントガード起用の利点はサイズアップにある。この試合、リバウンドの総数は35-39と4本相手を下回ったが、「フィジカルコンタクトが強いチームを相手にリバウンドで戦えたのは良かった」と及第点を与えるとともに、「上の3人の選手がどんどんリバウンドを取らないといけないと思いますし、自分自身もリバウンドの本数はこだわりたい」と、さらなる向上意欲を見せた。
「課題はハーフコートに入る前にある」
速攻やハーフコートオフェンスで得点を取り、リバウンドでも互角に渡り合い、勝利に繋げた。内容も結果も満足できるゲームだった言える。だが、もちろん課題がなかったわけではない。
ニュージーランドに前線からプレッシャーをかけられたことで、ハーフコートにボールを運ぶまでに時間がかかり、ショットクロックが16秒前後しかない場面が多々あった。田中も「今のポイントガードとしての課題はハーフコートに入る前にある」と、この課題を認める。
「スムーズにボールを運ぶことを今までやってこなかったですし、今日も相手がプレスをしてきましたが、ちょっと塁や雄大に頼りすぎたかなというのがあるので、もっとスムーズに自分が運べるようにはしたいです」
田中が言うように、馬場がスピード生かして突破したり、中継役としてボールを受けた八村がそのまま運ぶシーンが見受けられた。特にここで八村に負担をかけるのはチームとしてはマイナスであり、専門職であるポイントガードがボールを安全に運びきることが求められる。
また田中はディフェンスでもポイントガードとマッチアップすることになり、普段とは違う疲労も蓄積されるという。「今までやってこなかったので、変な疲労もあります。運ぶだけではなく前からずっとディフェンスに行くのも2、3番でやる時とは違ったキツさがあります」
国際試合で初めて本格的にポイントガードに取り組み、結果も残した田中は「やっぱり慣れかな」と笑った。今後も国際試合が続き、経験値を積めば、こうした疲労や違和感はなくなっていくだろう。田中のポイントガード計画は上々のスタートを切ったと言える。