
『ドイツ代表のシュルーダー』がプレーオフに降臨
キャバリアーズとラプターズのファーストラウンドは、両チームがホームで2勝して第5戦を迎えていた。上位シードのキャブズにとって第5戦は落とせないホームゲームだが、ラプターズはホームで連勝した勢いと自信をクリーブランドに持ち込んでいた。
優位を作れない前半を終えてのハーフタイム。試合の流れを変えるべく声を発したのはデニス・シュルーダーだった。2月のトレードで加入するも、プレーメークはジェームズ・ハーデンが、得点はドノバン・ミッチェルが牽引するキャブズで思うように役割を得られず、このプレーオフでも第4戦までで出場時間は平均11分しかなかった。
第5戦でも前半の出場は5分のみ。ロスターの端に置かれるような状況でも、声を上げる必要があると思えば彼は檄を飛ばす。
「僕が加わった時期に見せていたようなキャブズのバスケが見たい、とみんなに伝えた。少しそこから離れていたように感じていたんだ。そして、ジャレット・アレンとエバン・モーブリーがカギを握ると言った。ドノバンとジェームズというスーパースターがいるけど、あの2人もリーグ屈指のビッグマンだ。ホームのファンの前で、本来あるべきプレーができていなかった。だから、チームを奮い立たせるために発言しようと思った」
そして、彼自身も自分の言葉の責任を取るようにパフォーマンスを上げた。第3クォーター残り4分でコートに入ると、まずはディフェンスで激しさを出し、ズレを作り出す起点となっていたRJ・バレットを抑え込む。そしてプレーメークでは相手のマークが厳しいミッチェルとハーデンをあえて使わず、全員での攻めを作り出していく。
激しく、賢く、抜け目なく。それはドイツ代表をワールドカップとユーロバスケット優勝に導いたMVP級のパフォーマンスだった。
第4クォーター途中、ミッチェルを休ませる時間が終わったところでシュルーダーはベンチに戻るはずだったが、ミッチェルはヘッドコーチに「彼をこのまま使い続けよう」と進言し、シュルーダーは勝負の第4クォーターをフル出場し、11得点2アシストでチームを逆転勝利へと導いた。
「ドノバンがそう言ったのは知らなかった」とシュルーダーは言う。「僕も誰かが絶好調だったらコーチに同じことを進言しただろう。ドノバンには感謝している。彼はスーパースターだけど人格者だ。このチームにはそういう選手が揃っている」
DENNIS SCHRÖDER TO THE HOOP. #LetEmKnow pic.twitter.com/XWypgUeNeT
— Cleveland Cavaliers (@cavs) April 30, 2026
この進言についてミッチェルは「ノッている選手がいるなら交代させる理由はないよ。得点だけでなく、ドライブでペイントを切り裂いて他の選手にスペースを作り出した。出番が少ない中でこれだけの準備をしてきたメンタリティは、チーム全員のお手本になる」と説明した。
ファンはエースであるミッチェルの活躍を期待している、という意見もあると会見で言われたミッチェルは「それはエゴだ。言葉は悪いけどクソ喰らえだね」と答えた。「良いチャンスが来れば迷わずシュートを打つけど、それ以上に正しいプレー判断、相手の隙を突く動き、リバウンドが重要なんだ。自分の得点が19でも0でも50でも、チームが勝てばそれでいい。自分の得点ショーを望むのは、チームのためにならないよ」
プレーオフはアジャスト合戦で、ラプターズはミッチェルとハーデン中心のオフェンスを研究し尽くしてきた。それだけにシュルーダーが突如としてオフェンスを掌握し、ミッチェルはハーデンを囮に使って自分や他の選手を使って攻める『変化』に対応できなかった。
シュルーダーは言う。「僕はプレーオフが大好きだ。このリーグのどの選手も、この機会のために努力している。経験はもちろん大事だけど、それよりも集中力とエネルギーが大事で、すべてのポゼッションを全力で挑む姿勢が必要なんだ。後半はそんなバスケができたと思う」
出場機会確保に苦しむ中、プレーオフの大舞台でこの働きができたことには大きな意味がある。「確かに厳しい状況だったけど、これまで様々な経験をしてメンタルが鍛えられてきた。良いことも悪いことも受け入れて、練習の積み重ねを信じ、良いチームメートであり続ける。そして自分の名前が呼ばれた時に準備万端であろうとしている。今はただ、次の試合にも勝ちたいだけだよ」