リード・シェパード

指揮官の「成長するしかない」の檄に応えて結果を残す

レイカーズとのファーストラウンド第5戦、ロケッツが見事な勝利を挙げた要因は、93失点に抑えたディフェンスであり、ターンオーバーが5つあった第1クォーターを除けばミスが少なくボールをシェアし、攻めも守りも全員で戦えたことだ。

終盤のリードを守りきれず、オーバータイムに持ち込まれた第3戦を落とした時、ユドカは選手たちに「成長するしかない」と厳しい言葉を掛けた。若いことを言い訳にしていたら、昨年同様にプレーオフは1回戦で終わってしまう。負けから学ぶ過程を瞬時に済ませ、激しく戦い、冷静に判断を下し、接戦の終盤で相手を上回れ、という強いメッセージだった。そして今、ロケッツの若い選手たちはケビン・デュラントが不在でも、レイカーズと真っ向勝負を演じている。

第1クォーター終盤に2桁のビハインドを背負ったものの、ロケッツは48分間でのアップダウンを極力減らし、攻撃にも守備にも全力を注いだ。第2クォーター早々に逆転すると、その後はリードを保ち、終盤にギアを上げたレイカーズに詰め寄られるも、自分たちのペースを崩さずに勝利した。

ジャバリ・スミスJr.は「48分間の戦いで勝つ、その姿勢をチームメートに伝えたかった。9点勝っていても9点負けていても、同じ強度でプレーし続けることを意識していた」と語る。「モチベーションは必要なかった。負ければ終わりの試合で気合いが入らないようなら、この競技には向いていないよ」

「もともとディフェンスの良いチームだったけど、この数試合で戦術の遂行力が向上したと感じる。プレーオフらしいフィジカルなバスケをして、ただ守るだけじゃなくリバウンドを取って相手のポゼッションを終わらせる。ガッツもサイズも選手層もあったけど、メンタル面で上手く集中できるようになったと感じる」

そういう意味で、メンタルの向上を最も感じさせるのはリード・シェパードだろう。フレッド・バンブリートのケガで、2年目の小兵ガードがプレーメークを任された。長いシーズンを通して、その重責に圧し潰されそうな時期もあった。その象徴が第3戦の終盤で犯したミスだが、シェパードはそこから学んで大きな成長を見せている。

第4クォーター残り3分、レブロン・ジェームズがアルペラン・シェングンとの1対1を制してレイアップを決めて3点差に詰め寄った時点で、レイカーズは11-1のランとなっており、クリプト・コム・アリーナの観客の熱狂ぶりも含めて相手に流れが傾きつつあった。しかし、その流れをシェパードが断ち切る。

ディアンドレ・エイトン相手の1対1からミドルジャンパーを沈め、続くポゼッションではピック&ロールで前を向くレブロンの懐に鋭く飛び込んでスティールに成功。そのままワンマン速攻に持ち込んでダンクを決め、92-85とレイカーズを突き放すとともに、会場の雰囲気を一変させた。彼はその後も落ち着いたゲームコントロールで勝利に貢献した。

「第3戦の試合展開は全員が覚えていて、同じ失敗を繰り返したくなかった。だから全員で団結し、正しいプレーを選択し、適切なセットから良いシュートチャンスを作った。第3戦で負けた後、塞ぎ込んであきらめることもできたけど、僕らはそうしなかった。あの試合から学び、自分たちでチャンスを切り開いた」とシェパードは言う。

第3戦で悔しい逆転負けを喫した直後、指揮官ユドカは選手たちにミスの場面の映像を見せたという。「あれは精神的にキツかった。でも、チームの成長には最善の一手だった」とシェパードは振り返る。「ネガティブな感情を引きずっても良いことはない。毎試合を新しいマインドセットで迎え、感情を入れすぎずにただ集中して全力を尽くすんだ」

そしてシェングンは、デュラント不在の穴を埋めるべく攻守に奮闘した。14得点という数字は物足りないかもしれないが、フィールドゴール9本中5本と彼自身は効率良くシュートを決めるとともに、8アシストを記録してロースコアゲームにおいて違いを生み出した。シリーズ序盤は「ダブルチームが来ると思って焦ってしまった」と自分の未熟さを悔いたが、そこからわずかな日数で、ダブルチームを待って打開する術を身に着けている。

「映像を見て相手のディフェンスを研究したからね。もう慌ててシュートを打つことはないし、ダブルチームに突っ込んでいくこともないよ」とシェングンは落ち着いた表情で語る。「ダブルチームが来れば、味方にオープンショットのチャンスができている。それを冷静に見極めるのが僕の仕事だ」

「僕らは若いチームで、ネガティブな空気に押し流されそうになることもあったけど、今は全員がポジティブに物事を考えて集中している。コートに立つのが誰であろうと全力を尽くす。ここからもそうやって戦っていくよ」