
「僕は今日、今この瞬間もプレーできる」
ヤニス・アデトクンボは、現地3月15日のペイサーズ戦で左膝を痛めた。この時はプレーを続けようとしたが、スタッフに制止されてベンチに座ることに。「チームドクターとトレーナーから『リスクを冒す価値はない』と言われて、納得するしかなかった」と語っている。
それから3週間に渡って彼の欠場は続いており、バックスがスター選手を故意にプレーさせないとしてリーグの調査が入る事態に発展した。
そんな中、現地4月2日にアデトクンボが取材に応じた。「ケガは治っている。万全を期すために1日か2日様子を見た後、ウォーミングアップやワークアウトをしているのは皆さんも見ている通り。チーム練習でもほぼすべてのメニューをこなしている」
アデトクンボ離脱後の10試合でバックスは2勝しか挙げられず、10位ヒートに9ゲーム差を付けられ、プレーイン進出の可能性は消滅している。それでも、彼がプレーしたいと願う気持ちに変わりはない。「チームの状況は理解しているよ。プレーオフに進めない以上、僕がプレーする意味はないと考える人もいるだろう。でも、これは僕のやり方と違う。僕はプレーするために生まれてきた。ここまで来るためにどれほどの努力が必要だったか、僕は決して忘れない」
「僕は健康だ。自分のやり方に反することを強制されるのが大嫌いだ。僕はプロバスケ選手で、プレーすることで報酬を得ている。僕は今日、今この瞬間もプレーできる。僕を見てくれ。出場できる状態に見えるだろう? どこにも痛みはないんだ。でも、今日のスタメンに僕の名前はない。ここでどんな『ゲーム』が行われているのか分からないけど、僕はそこにかかわりたくはない」
「僕は13年目のベテランで、プレーオフ争いから脱落した今は来シーズンのために身体のケアに専念して、若手に出場機会を譲るという理屈は分かる。でも、この状況は白旗を振っているだけだと感じる。悪いけど、そんなことは絶対にしたくない」

「次の試合が10月だなんて耐えられない」
アデトクンボの『独演会』は止まらなかった。バックスへの敬意は持ちつつ、同じ道を進めない現状を嘆いた。「今の僕らは間違いなく認識が食い違っている。これは結婚のようなもので、何か問題があるからってすぐさま離婚というわけじゃないけど、この状況は気に入らない。正直に言えば、僕のこの気持ちはメディアに話すのではなく、『妻』であるバックスに直接伝えるべきだろう。でも、13年も結婚生活を送っていれば相手のことは分かっているはずだ。僕に『プレーするな』と言うのは、平手打ちをするようなもの。それでは、この関係は続けられないよ。夫婦でカウンセリングを受けるべきかもしれない。お互いの言い分を伝えて一緒に解決策を見付ける。そう、円満にね」
この日はセルティックスとのホームゲーム。アデトクンボ抜き(厳密には兄のタナシス、そしてNBAデビューを果たしたばかりの8歳下の弟、アレックスがプレーしていた)のバックスは抵抗らしい抵抗を見せられないまま、第1クォーターで17点差を付けられ、その後のクォーターもすべて相手に上回られる完敗を喫した。「僕はバスケがしたい。次の試合が10月だなんて耐えられない」というアデトクンボの言葉は、悲痛な叫びに聞こえる。
Alex Antetokounmpo scores his first NBA points. pic.twitter.com/5j0FjMRMqm
— Milwaukee Bucks (@Bucks) April 1, 2026
アデトクンボがこうして鬱憤をメディアにぶちまけたのは、彼の言うところの『お互いの言い分を伝えて一緒に解決策を見付ける』作業ができていないからだろう。彼自身の希望を上回るだけの『休む理由』があるなら、それを伝えて納得させるべきで、それができていないから事態は悪化する。
残念ながら、バックスのフロントと現場の乖離は果てしなく大きい。こういう時こそ経験豊富なヘッドコーチ、ドック・リバースの出番なのだが、驚くべきことに彼は「この件について私には何の決定権もない」と言った。
「コーチは常に会見に出て、こういった質問に答えなければならない。しかし、私はこの問題に深くかかわりたくない。ヤニスとは常に会話しているが、それは選手としての彼の成長についてで、それ以外の事柄には関与しないと随分前に決めている。ただ、この状況は気に入らない。『誰がこう言った、それについてどう思うか』という話を何度もさせられるのは苦痛だ」
ドックは多くを語らなかったが、アデトクンボに警告を発してもいる。「こういった話が公になるのも気に食わない。大人の男であれば一つの部屋に集まって話し合えばいい。意見が一致しようがしまいが、そうするべきだ。私はメディアを通じて交渉事をするのが昔から大嫌いだ。それは誰にとってもプラスにはならない」