
「自分らしいプレーを取り戻し、壁を乗り越えられた」
セブンティシクサーズのタイリース・マクシーは、現地3月7日のホークス戦の終盤に味方と衝突して右手を痛めた。当初は本人があまり痛がっていなかったため軽傷で済むかと思われ、続くキャバリアーズ戦にはサポーターを巻いてチームに帯同していたのだが、実際は小指の腱を伸ばしており、少なくとも3週間の戦線離脱となった。
この時点でシクサーズは34勝30敗。腹斜筋の肉離れで欠場しているジョエル・エンビードは2月以降で5試合にしか出場できておらず、ポール・ジョージは薬物規定違反で25試合の出場停止となっている。開幕からケガ人続出のシクサーズをほぼ休みなしで引っ張り、リーグ4位の29.0得点を記録していたマクシーの戦線離脱は何よりも痛い。
現地3月10日の対戦相手はグリズリーズ。こちらもケガ人続出で使える選手が10人しかいない状況だったが、マクシーの離脱で気落ちするシクサーズは第3クォーターまでほとんどの時間帯でビハインドを背負うことになった。
それでも第4クォーターを41-25と圧倒し、最終スコア139-129の鮮やかな逆転勝利を飾った。殊勲の働きを見せたのは、2月下旬にチームに加わったキャメロン・ペインだ。
かつてセカンドユニットの得点源としてサンズの躍進を支えたペインだが、2023年オフにサンズを離れてからは環境にフィットできずに力を発揮できず。昨シーズンはニックスで72試合に出場するも、セカンドユニットに重きを置かないチームでは存在感を出せず、今シーズンはNBAで契約を得られずにセルビアでプレーしていた。
マクシーがいてもバックコートの選手層は薄く、ジャレッド・マケインをサンダーに放出した判断が間違っていたのではないかとの後悔がチーム内外にあった。その代わりに契約したペインが、今は頼みの綱となっている。ペインにとっては、セカンドユニットの得点源という自分の持ち味を発揮し、キャリアを再び軌道に乗せる絶好の機会だ。
🔙 to 🔙 https://t.co/HSqo5wa8bm pic.twitter.com/znINqXvbWQ
— Philadelphia 76ers (@sixers) March 10, 2026
ガードの先発はVJ・エッジコムとクエンティン・グライムズ。その後を受けたペインは、シンプルだがタイミングの良いパスでリズムを作り、目の前が空けば積極的にシュートを放つ。連戦の2試合目、さらにエッジコムが背中のケガから復帰したばかりとあって、ペインのプレータイムは30分まで伸びた。結果として彼はフィールドゴール10本中9本成功(そのうち3ポイントシュートは8本すべて成功)の32得点、10アシストでターンオーバーなしと『完璧』なパフォーマンスを披露。特に勝負の第4クォーターで3本の3ポイントシュート成功を含む13得点、5アシストと2スティールも記録して、逆転勝利の立役者となった。
指揮官ニック・ナースは「彼が当たり出したら止まらないのは分かっていたが、それを超えてきた。彼に打たせるためにダブルスクリーンを指示したのに、セットが完成する前に打って決めたシーンもあった。特別なパフォーマンスだったよ」とその働きを称えた。
ペインは「神様のおかげだね」と言い、あまりに上出来のシュートタッチを神からの贈り物だととらえていた。
「試合が始まる時点では、効率の良いプレーを選択しようとだけ意識していた。だからシュートはすべて無理に打つのではなく、自然にパスが回って来るのを待って打ったものばかりだ。練習はしっかりやっていたから自信は失っていなかったけど、ようやく自分らしいプレーを取り戻し、壁を乗り越えられた気がする。自分がNBAに相応しい選手だと証明できて、プレッシャーから解放された。あとはこの調子をいかに継続させるかだね」
ペインがいくら好調でも、またエッジコムとのスピードある2ガードの相性が良くても、いまやシクサーズの絶対的なエースとなったマクシーの代わりは務まらない。ただ、マクシーが復帰するまでにオフェンスを引っ張り、ダメージを最小限に抑えることは可能なはずだ。東カンファレンスの中位は混沌としており、35勝30敗のシクサーズは現在8位で、5位ラプターズまでが1.5ゲーム差と射程圏内。マクシー復帰をどんなチーム状態と順位で迎えられるかが、今シーズンの成否を大きく左右しそうだ。