
一夜にしてチーム内評価を一気に高めるパフォーマンス
ブルズの河村勇輝が今シーズン初出場を飾った。現地1月31日、マイアミでのヒート戦。ジョシュ・ギディー、コービー・ホワイト、トレ・ジョーンズとガードの1番手から3番手が欠場し、さらに大黒柱のニコラ・ブーチェビッチまで不在。選手のやりくりが苦しい中で、右足の血栓による長期離脱を強いられ、Gリーグで復帰したばかりの河村にチャンスが訪れた。
第1クォーター残り2分で投入された河村は、最初はチームメートとの呼吸が合わなかったものの、第2クォーター頭からスタメン4人が戻り、河村と組むラインナップになって噛み合うようになった。ケビン・ハーターとのピック&ロールから、前に出て河村に対応したバム・アデバヨを一瞬の加速で抜き去り、背後からシュートブロックを狙うアデバヨの動きが見えていたかのような完璧なタイミングでパスを落とし、ハーターのバスケット・カウントをアシスト。さらにドライブで攻めきれなかったマタス・ブゼリスが戻したパスを受けて、正面からの3ポイントシュートを成功させる。
ヒートはスピードのあるドリュー・スミスを河村とマッチアップさせた。スミスはオフェンスでは高さと強さで河村を苦しめたものの、ディフェンスでは河村の瞬発力とスキルに翻弄されることとなった。
第2クォーター途中で交代した後、第3クォーターは出番がなかったが、第4クォーター残り9分から約4分半、河村に再び出番が訪れた。投入された時点で8点リードと勝敗はいまだ分からない展開で、ここでプレータイムを得られたのは前半のパフォーマンスが評価されたからだろう。
第4クォーター残り7分、クロスオーバーからスピードで仕掛けたドライブではペレ・ラーションを振り切れなかったが、パトリック・ウィリアムズが待つ左コーナーへとパスを出す。リムまで攻めたウィリアムズが右コーナーに流れた河村にパスを返すと、河村は詰めていたラーションに惑わされることなく3ポイントシュートを沈める。2点差まで詰め寄られた状況でヒートを突き放す価値ある得点だった。
さらに残り6分半、味方が攻めきれずにショットクロックが残っていない状況でヒート守備陣が密集するゴール下へのドライブを選択。倒れていた相手をすり抜けるようにリムへと迫り、相手の注意を引き付けてブゼリスのイージーダンクをアシストした。
河村は11分の出場で6得点3リバウンド2アシスト2スティールを記録。しかし、どのスタッツよりも会場を盛り上げたのは、ヒートのリスタートの場面でカスパラス・ヤクショニスにディフェンスで仕掛け、倒れたヤクショニスに食らい付いてジャンプボールシチュエーションに持ち込み、さらにはジャンプボールで勝ったシーンだ。同じガードとはいえ頭一つ大きいヤクショニスを相手にボールを弾き出してマイボールに。次のディフェンスではハイメ・ハケスJr.のスピンムーブの足元に飛び込んでスティールに成功。ここから速攻に持ち込んでファウルを引き出してもいる。
同点とされた残り1分20秒で、河村に3度目の出番が訪れた。ここでもコートで一番小さい河村がディフェンスリバウンドを確保した。追い付かれて慌てそうなチームをポイントガードとして落ち着かせた河村は、125-118の勝利で自らの復帰&デビューに花を添えている。
シーズンを通してケガ人に苦しめられているブルズだが、ガード陣にケガが相次ぎ、連戦の1日目で無理をさせられない状況での貴重な勝利となった。河村個人にとっても、NBA2シーズン目でようやくのデビューで勝利に貢献でき、なおかつチーム内での評価も一夜にして高まったはず。ここまで出遅れた分をここから取り戻す活躍に期待したい。