
「集中力を保ちアグレッシブにプレーできた2試合」
12月27日と28日で開催されたB1第17節。群馬クレインサンダーズはホームに三遠ネオフェニックスを迎えて対戦した。前日のゲーム1は96-69で勝利し、続くゲーム2でも91-71と連勝を飾った。
三遠とは昨シーズンのレギュラーシーズンと天皇杯そして、チャンピオンシップと計5回対戦して、群馬はいずれも敗戦。勝利をモノにしたい因縁の相手だった。
群馬のカイル・ミリングヘッドコーチは「チームには話しませんでしたが、昨シーズンの全敗は意識にありました。三遠の大野篤史ヘッドコーチは素晴らしいコーチですので、そのチームに連勝できたのは良かったです」とゲーム2後に胸を撫で下ろした。
特に群馬は今節を迎えるまで、広島ドラゴンフライズと京都ハンナリーズ相手に3連敗を喫していた。この試合で、チーム最多となる20得点7アシストを記録したケリー・ブラックシアー・ジュニアは連敗からの切り替えがうまく行ったと明かす。
「敗戦を受けて、改めて自分たちはディフェンスのチームであると認識して臨みました。三遠さんはオフェンスが良いチームなので、スローダウンさせることが重要でした。ディフェンスから勢いがついて、オフェンスもアグレッシブにプレーでき、集中力を保って戦えた2試合でした」
その言葉の通り、ターンオーバーを誘発したところからテンポ良くオフェンスに転じて得点を重ねた。群馬らしい戦い方でつかんだ連勝だった。
群馬は現在、トレイ・ジョーンズとヨハネス・ティーマンがインジュアリーリストに登録されており、テレンス・ウッドベリーとケニー・ローソン・ジュニアが緊急加入してチームを支えている。
シーズン序盤に目論んだロスターが揃っていないことで、ブラックシアー・ジュニアにかかる負担は大きくなっているように感じる。実際、チーム内のシーズン平均得点とリバウンド、アシストでいずれも最多を記録している。
「2人はよく繋いでくれています。性格が良い2人なので、オフコートでもチームとして馴染めていますし、しっかりアジャストしてくれて、違う才能をチームにもたらしてくれています」と前置きした上で、チーム状況を次のように評価する。
「自分に負担がかかっているイメージはあるかもしれませんが、そんなことはありません。みんなが勝つためにどうすれば良いかと本当に考えながらやっているチームです」

「チームとして繋がっている感覚が大事」
群馬の成績は、18勝10敗で東地区4位。チャンピオンシップ進出圏内には位置しているが、直近の連敗でボーダーラインに立たされている。
「3連敗したこと、特にホームでの2連敗は厳しい状況でした」とブラックシアー・ジュニアと敗戦を振り返るが、この連敗がチームを強くしたと続ける。「私たちは逆境に強いチームです。敗戦を受け止めて、アグレッシブにプレーすることをチーム全員がコミットしていました」
ブラックシアー・ジュニアは、広島に所属していた2023-24シーズンに優勝を経験した。シーズン終盤に向けてチーム力を高めていき連勝を重ねて、勢いを持ってチャンピオンまで上り詰めた。今シーズン、同じような感覚を持っていると言う。
「広島で優勝したシーズンも、逆境に強かったです。あの時もケガ人がいても崩れずに、プレーしている選手もしていない選手もチームのために何ができるか考えてステップアップできました。今シーズンの群馬は、それを思い返させるチームです」
チーム力を高めるためには「繋がっている感覚が大事」とブラックシアー・ジュニアは語り、今後、勝率を上げていくために「ルーズボールやリバウンドなど五分五分のボールに対して激しくプレーすることが勝利のカギになっています。そのマインドセットを整えて臨めば、どんなゲームでも勝てると思うので、次に繋げていきます」と意気込む。
11月の中断期間中にインタビューをした際は「クリスマスホリデーで家族と過ごせるのが楽しみ」と満面の笑みで話していた。試合は連敗を喫してしまったが、家族との時間がリフレッシュとなり、今節の力となったと言う。
「次女にとって初めてのクリスマスだったので、特別な時間でした。仲の良い義理の妹も来日して、京都戦も来てくれたのですが、勝利をプレゼントすることができませんでした。ただ、ホリデーシーズンに家族がそばにいてくれるのは、うれしいことです」
弟のキーナン・ブラックシアーがGリーグのクラブと契約した際(その後、退団)には「彼の奮闘はうれしいし、励みになっている」と話していた。家族の存在が背中を押し、チームの大黒柱として再びBリーグの頂点を見据える。群馬に新しい歴史を刻むため、ブラックシアー・ジュニアの挑戦は、ここから加速していく。