
自由奔放の良さを保ちつつエースの責任を全うする挑戦
福岡大学附属大濠はウインターカップ初戦で報徳学園に84-41の大勝を収めた。大濠の2年生エース、本田蕗以は楽勝の展開でプレータイムは15分に留まるも、フィールドゴール7本中5本を決めて14得点を挙げている。しかし、試合後にはモヤモヤしたものが残った。
ティップオフからわずか10秒、本田は思い切りの良いドライブで相手ディフェンスが密集するペイントエリアに切り込み、ファウルを受けて体勢を崩しながらもバスケット・カウントをもぎ取っている。ただ、その積極性は続かなかった。
試合後に自分のプレーを振り返る本田の表情は冴えない。「チームとしては練習していた通りのプレーを出せたと思うのですが、個人的にはできなかったところが多かったです。一発目のプレーだけは良かったのですが、その後は自分の中でちょっと消極的になってしまい、ペイントに入るとかレイアップに持っていくプレーがあまり出せませんでした」
最初の勢いを持続できずに開始2分半で交代となり、第2クォーターの頭から戻るも何もしないまま再びベンチに下げられた。後半にそれなりのパフォーマンスは見せたが、本田が自分自身に求めるレベルには達していなかった。
「相手も自分の良さを分かっていて、すごく寄る対応をしてきているのに、何も考えずに適当に突っ込んでしまって、そういう部分があったからあまり出してもらえなかったと思います。ウチは3年生がしっかりしている分、自分に求められているのは思い切りの良いプレーなのですが、だからと言って無茶苦茶にやるとか、入らないシュートを打ち続けるとか、そういう無責任なプレーじゃやっぱダメだと思います。自分で気付いて修正するのが大事なのに、それができませんでした」

エースの責任に「覚悟を決めてやっていきます」
優勝した去年のウインターカップにも本田は1年生ながらベンチ入りしているが、まだ主力ではなく、出番も責任も小さかった。それが今年はスタメンとなり『U18日清食品トップリーグ』では得点王になってプレーヤーとしての価値を高めた。それは、今まで以上に相手から警戒されることも意味する。
「相手のディフェンスが寄ってくるのを落ち着いて見ることはできています。見えてはいるんですけど、その上で判断するところで、普段ならドライブで割って行くのに『パスでいいや』みたいな消極的、というか適当な考え方になってしまい、それは僕にとって一番良くないことだと思います」
これまでは自由奔放に、自分の持ち味を発揮していれば良かったが、プレーヤーとして成長する中で自分の立ち位置も役割も変わってくる。エースの責任を果たすには、メンタルの面で一つ大きなステップアップが求められる。
「まあ大丈夫だろう、みたいな気持ちで挑んではダメで、しっかり自分の中で受け止めて、その中で思い切り良くプレーすること。自分が強く行くところは行く、空いているところはしっかり見付ける。そういう判断の質は大会が進めば進むほど大事になってくると思うので、覚悟を決めてやっていきます」
タレント揃いの大濠だが、それでも本田にかかる期待は大きい。ウインターカップという大舞台で本田が自分に求められるステップアップを遂げられるかどうかに注目したい。