スティーブ・カー

写真=Getty Images

王朝時代を維持するための第一歩

7月17日、ウォリアーズはヘッドコーチのスティーブ・カーと延長契約を結んだことを発表した。新たな契約内容は明かされていないものの、カーはリーグで最も高額な年俸を受け取るヘッドコーチの一人になると見られている。

カーは、それだけの契約に見合うだけの実績を残してきた。2014年に指揮官に就任した直後こそ、指導者としての経歴がゼロだったため能力を疑問視されたが、すぐに選手たちの心をつかみ、ここ4年で3回の優勝、しかも二連覇にチームを導いている。

昨年のオフにもウォリアーズとの延長契約締結の話はあった。だが健康面に不安を抱えていたカーは、昨シーズンを通じてウォリアーズのヘッドコーチという過酷な職を全うできる健康状態にあるかを確認した上で、契約延長に応じたと見られている。

就任後レギュラーシーズンで265勝63敗という圧倒的な戦績にチームを導いているカーは、これ以上ないタイミングでウォリアーズの指揮官に就任した。カーが就任する前の2013-14シーズンといえば、現在のコアメンバーであるステフィン・カリーとクレイ・トンプソンが台頭したシーズンで、ドレイモンド・グリーンはカーの就任後から先発に固定された。彼ら3人が中心のウォリアーズは、2015-16シーズンに73勝9敗(勝率89%)という驚異的な戦績を残し、絶対に更新されることがないと言われていた1995-96シーズンのブルズが打ち立てた、年間最多勝利記録(72勝10敗、勝率87.8%)を更新した。

14-15シーズンから2年続けてシーズンMVPに輝いたカリーに加えて、2016年のオフにはケビン・デュラントの獲得にも成功。NBAに『スーパーチーム時代』をもたらした大型補強に関しては未だに賛否両論あるものの、彼らがNBA史に残るチームであることは間違いない。そして、そのチームを一つに束ねているのがカーという名将だ。

来シーズン三連覇に挑むウォリアーズは、王朝時代を迎えている。来シーズン終了後にはトンプソンとデュラントが、2020年の夏にはグリーンがフリーエージェントになるものの、コアメンバーはそれぞれ残留を希望。あとは敏腕GMボブ・マイヤーズとオーナーの決断次第だが、たとえリーグに高額のラグジュアリータックスを支払うことになっても、カリー、デュラント、トンプソン、グリーンというコアを解体するとは思えない。

人心掌握術に優れるカーとの契約更新は、王朝時代を維持するための第一歩だ。カーは今後も選手たちを叱咤激励して彼らの能力を引き出し、チームをさらなる高みに導くに違いない。