幡出麗実&三輪美良々

大阪薫英女学院は去年のチームがスタメンすべて下級生で、2年生ながらキャプテンを務めた幡出麗実とエースの三輪美良々が3年生になった今年のチーム作りは『継続路線』で順調に進むかと思われた。しかし、チームとは想定通りに進まないもの。インターハイでは3回戦で桜花学園と当たり、力を出し切れないまま69-74で敗れ、U18日清食品トップリーグにも出場できず。チームがまとまらない状況に幡出と三輪は苦しみながら成長し、高校バスケの集大成であるウインターカップに臨む。

「チームをまとめる部分に目を向けられていなかった」

──去年が下級生チームだっただけに、今年のチーム作りは順調かと思いましたが、実際は大変だったと聞いています。どんな部分が大変でしたか。

三輪 インターハイで負けたこともありましたが、バスケ以外の日常生活などの部分でチームの関係がちょっと上手くいかないところがありました。インターハイに負けた時点で切り替えなければいけなかったのですが、プレーに集中できない時期が結構続きました。

幡出 去年は私が2年生でキャプテンをやっていて、3年生は試合にはそれほど絡んでいなかったのですが、「裏で支えよう」みたいな感じでたくさんのことをやってくださっていました。

三輪 試合に出ている私たちはプレーに集中していたのですが、見えない部分で3年生の方たちがチームをまとめてくれて、そのおかげで自分たちがプレーに集中できていました。3年生がいなくなった時に私たちはチームをまとめる部分に全然目を向けられていなかったです。

幡出 そこでチームとしてボロが出たというか、問題に気付いても手が回らず、自分たちで処理できれなくなってしまいました。

──それは練習に熱が入らない、試合で集中できないという形で出たのですか。

三輪 練習や試合に集中できないというより、Bチームへの気遣いだったりプレー以外の部分が疎かになっていました。勝つためには自分たちがちゃんとプレーすることが必要ですが、今年を最後まで全力でやりきるためには自分のプレーのことだけになってはダメです。どれだけ大変でも私たち2人が去年の経験を生かしつつ、チームを引っ張っていかなければいけないと気付くまでに時間がかかってしまいました。

幡出麗実

「全員でチームを最優先に動くのがまず大事」

──その苦しい時期を経て、今のチーム状況はいかがですか。

三輪 私たちが完璧にできるようになったとはまだ言えませんが、でもチーム全体として同じ方向を向いて、まとまって進むことはできるようになったと思います。

幡出 これは下級生の力が大きくて、3年生がいろいろ悩んでいる時に、2年生と1年生が「全国制覇したい!」という気持ちを強く出してくれて、その熱量を感じることで私たちも「このままじゃいけない」と前向きになれました。

──3年生の「全国制覇したい」の気持ちが弱かったわけではないですよね。

幡出 絶対に全国制覇するんだ、という思いはずっと変わらずあるのですが、いろいろ上手くいかずにどうしたらいいか分からなくなっていました。1年生はそんな時も「悩んでも仕方ないでしょ!」みたいな感じで、悩んでいるだけでは何も変わらなくて、日本一になるために全員でチームを最優先に動くのがまず大事だと気付かされました。

──下級生が試合で活躍するようになっていますが、オンコートだけではないチームへの貢献もあったということですね。ウインターカップまであと1カ月、どこを伸ばしていきたいですか。

幡出 薫英の得点源は美良々で、全国に行けばどのチームも美良々を抑えるために徹底的に対策してきます。今のウチはそこ以外の得点が少ないというか、美良々の得点が止まった時点でチーム全体の得点も止まってしまうのが課題です。今は安藤(香織)先生が新しい攻めの動きを教えてくださっているので、それを自分たちの中で上手く使いこなせるようにして、私たち2人以外のところで得点が取れる形を作ってウインターカップに臨みたいです。

三輪 私は得点を取るのが仕事で、それでチームを勝たせてきたし、負けさせてきたこともあります。マークが厳しくなるのは分かっていますが、それでも点数を取り続けるのが当たり前というレベルに自分を持っていきたいです。その上でディフェンスが寄って来た時にはパスで周りを生かせるように。自分が軸となってこのチームの得点を動かしたいとずっと思っているので、自分で得点を取るのはもちろん、視野の広さも生かしてプレーしていきたいです。

三輪美良々

「相手が誰であっても攻め続ける姿勢を出すこと」

──チームの息の合った連動も大事ですが、まず三輪選手のところでアドバンテージを作れるかどうかで試合の流れが決まりそうです。

三輪 私は1年生から試合に出させてもらって、今まで悔しい思いをたくさんしてきました。たくさん経験がある分だけ思うところも多いし、責任も感じています。ウインターカップは最後の大会なので、自分の力でチームを日本一にしたい。だからどの試合でも40分間一歩も引かずに攻め続けて、自分がチームを勝たせる仕事をしたいと思っています。

──幡出選手はキャプテンとして大阪薫英女学院のどんな姿を見せたいですか。

幡出 薫英の一番の魅力は、日本人だけでこれだけ戦えることです。周りは留学生のいるチームが多いですが、どのチームのバスケを見ても安藤先生のバスケが日本で一番だと感じるし、それをウインターカップで示したいです。今年はあまり結果が出せていないので、ウインターカップで薫英が優勝すると思っている人はそんなにいないかもしれません。ですが私たちは安藤先生を信じてここまでずっとやってきたし、日本人だけのバスケで絶対に日本一になりたいし、そうすることで安藤先生のバスケが日本一だと証明したいです。

──全国制覇を成し遂げるカギが自分のプレーになるとしたら、どんなプレーになりますか。

幡出 私は3ポイントシュートです。何本決めるのかも大事ですが、チームが苦しい状況であったり勝負どころの時間帯での1本をしっかり決めきりたいです。

三輪 センターの仕事は全部やりますが、相手が誰であっても攻め続ける姿勢を出すことです。留学生との対戦で高さでは勝てない部分があったとしても、それを上回るぐらいの得点力を見せたいです。