安藤誓哉

「自分のスタイルを変えないことが代表のプラスになる」

男子日本代表は1128日、121日に行われる『FIBAワールドカップ2027アジア地区予選』Window1で、ホーム&アウェーでチャイニーズ・タイペイと対戦する。トム・ホーバス体制において長らくポイントカードは河村勇輝、富樫勇樹、テーブス海の3名が軸だったが、河村勇輝はNBA挑戦中かつ故障中、テーブスも故障している。その中でも必勝体制が求められるWindow1に向けた強化合宿には、安藤誓哉と齋藤拓実という2人のベテランガードが招集された。特に安藤は33歳と合宿参加メンバーでは最年長となる。

ホーバス体制になってからの安藤は、Bリーグ屈指の日本人ガードとしてハイレベルな活躍を続ける一方、何度か代表候補に選出されるもコンディション不良による合宿辞退などもあって代表から遠ざかっていた。これまでホーバスは何度も安藤の実力を評価する発言をしているが、最後に代表としてFIBAの公式戦に出場したのは前回ワールドカップのアジア予選となる2022227日のオーストラリア戦で、この時は14分出場4得点2アシストだった。

久しぶりの代表活動について、安藤は「ここ(合宿場所のナショナルトレーニングセンター)で生活するのは懐かしい思いです」と語る。しばらく代表活動から離れている上に、短期間でのホーバスのスタイルに慣れることは簡単ではない。しかし、「トム(ホーバスヘッドコーチ)さんと話をしていて『あんまり考えすぎないで普段通りのプレー、アグレッシブなプレーを出してほしい』と言われています。自分のスタイルを変えないことが今、日本代表でプラスになると思っています」と、いつも通りのプレーを見せてほしいと言われていることを明かす。

ホーバスは、ベスト8決定戦で敗れる厳しい結果に終わった『FIBAアジアカップ2025』の反省として、「足が止まりました。ペイントアタックもできなかったです」とオフェンスが停滞する時間帯が多かったことを挙げた。この課題解消の特攻役として、外角シュートに加え力強いドライブも得意とする安藤の打開力に期待していることがうかがえる。

安藤本人は、「僕個人で勝手に気にしているのはスペーシングの問題です」と代表で意識している点を語る。「ディフェンスを含めると自分以外に9人がコートにいる中、もっとジョシュ(・ホーキンソン)だったりと話して、どこからクリエイトしていったら良いのかなど、時間がない中でもどうしたら良いのかしっかりとコミュニケーションを取っていく必要があります」

そして、何よりも「ダイナミックなプレーで躍動したいです。縮こまったようなプレーはあんまりしたくないかな」と、安藤らしい強気のプレーを見せていきたいと語る。

ワールドカップ2019以降、FIBA主要大会の舞台から遠ざかっている安藤にとって、今回の2試合はワールドカップ2027、その先にあるロサンゼルス五輪に向け代表での序列を高める絶好の好機となる。だが、今の安藤は目先の試合で代表に貢献することのみにフォーカスする。「もちろんロサンゼルス五輪への第一歩という部分はありますが、まずは目の前のWindowで自分の存在意義を示せるか。そこが個人として本当に大事かなと思っています」

これまで安藤はBリーグにおいて、相手の徹底マークを受ける中でも持ち前の爆発力で、試合の流れを何度も変えてきた。今回のWindow1でも、いつもの安藤のプレーを見せてくれれば、日本代表の大きな助けになることは間違いない。