マーベリックスとの接戦を勝利に導くゲームウィナー

決してチーム状態が良いとは言えないマーベリックスを相手にホームで大苦戦を強いられたものの、タイラー・ヒーローの復帰戦を勝利で飾ることができたのはヒートにとって朗報だった。

ヒートは前日に敵地でセブンティシクサーズと対戦し、マイアミに戻って来たばかり。4日で3試合、なおかつ連戦という厳しい日程で疲労があったのは間違いない。ノーマン・パウエル、ニコラ・ヨビッチ、アンドリュー・ウィギンズをケガで欠いてもいた。

それだけにヒーローが復帰し、上々のパフォーマンスを見せられたのは大きい。左足首の炎症の回復が上手くいかず、9月になって手術に踏み切ったことでここまで出遅れた。第1クォーターは3本のシュートをいずれも外して無得点に終わったが、そこから調子を上げて29分のプレーで24得点を記録した。

「まずは治療とリハビリを手伝ってくれた皆さんに感謝したい。この9、10週間はすごく長かったような気もするし、あっという間だった気もする。僕をラインナップに組み込んでくれたコーチとチームメートにも感謝している。チームが好調なのは分かっていたし、一緒にプレーできて良かった」とヒーローは語った。

まだ100%のコンディションではないようだが、数週間前からこのタイミングでの復帰を計画し、チームの遠征に帯同せずに仕上げの調整を行った。コンタクトはできるだけ避け、プレーの強度も本来のレベルまでは戻っていないように見えたが、スキルやオフェンスの感覚は鈍っていなかった。

同点で迎えた第4クォーター残り50秒、バム・アデバヨのスティールからデイビオン・ミッチェル、ペレ・ラーションと繋ぐ速攻で攻めきれず、ヒーローが一度ボールを預かる。ヒーローは一瞬の緩急で目の前のディフェンスを振り切り、リムを守るPJ・ワシントンの手前から放ったフローターを決めた。

「ペレがアタックすることもできただろうけど、正しいプレーを選択したと思う。僕はたまたまボールを受けられるポジションにいて、自分の得意なスポットに移動してフローターを決めることができた。でもこれはバムの殊勲だよ。あのスティールがなければチャンス自体が生まれなかった」

指揮官エリック・スポールストラも、復帰戦ですぐにリズムを取り戻し、ゲームウィナーを決めるヒーローの勝負強さに脱帽だった。「復帰初戦でこれだけのプレーができるのは驚きだよ。マブスのようなタフなディフェンスのチームと対戦した時こそ、彼のスキルが必要なんだ」