ジェームズ・ハーデン

ベテラン過多で「リーグの進化についていけていない」

開幕から1カ月、クリッパーズのシーズンは悲惨なものとなりつつある。ここまで4勝11敗だが、最初の5試合で3勝を挙げた後は1勝9敗。4つのクォーターすべてで相手を下回る完敗となった現地11月20日のマジック戦では、23得点を挙げたジェイレン・サッグスに「クリッパーズは遅い」と言われた。

「ハーデンがオフェンスの核で、スローにプレーして有利なマッチアップを探り、ズバッツとのピック&ロールやズバッツのポストアップで攻める。しかし、ベテランを軽視するわけじゃないが、リーグの進化についていけていないと思う。ペースが速くなりすぎて、消耗は半端じゃない。ベテランが毎試合ついていくのは難しい」

クリッパーズはジェームズ・ハーデンとイビチャ・ズバッツのコンビネーションで多くの得点を挙げているが、それに続く有効なオフェンスの手がない。カワイ・レナードは9試合連続で欠場しており、ブラッドリー・ビールに続いてデリック・ジョーンズJr.も戦線離脱した。

ズバッツとブルック・ロペスを擁して高さはある。しかし、運動量が足りないためにリバウンドは強みになっていない。そして相手の速攻を止めるスピードを欠き、トランジションディフェンスの弱みをカバーするためにオフェンスリバウンドを取ろうとし、それで戻りの遅さが悪化する。リムプロテクトは強いが、速いペースに対応できずに3ポイントシュートを簡単に打たれてしまう。対戦相手に3ポイントシュートを16本以上決められたのは15戦で9試合。これはリーグワーストの数字だ。

ジョン・コリンズはチームへの順応に手間取っているし、カワイに代わって先発しているのは2巡目指名のルーキー、コービー・バフキンで大きな働きは期待しづらい。ハーデンが孤軍奮闘しているが、その彼も潰れかねない状況だ。

「開幕からここまで同じだ。プレーできる選手でラインナップを組み、どう戦うのか把握している。健康なチームとは訳が違う」とハーデンは言う。

今はまだチームが一つにまとまっているが、ベテラン揃いのクリッパーズは『今』勝たなければならないチームで、このまま負け続ければいずれ不協和音が出てくる。個性の強いベテランが多いだけに、そうなれば状況はさらに悪化する。

足と足首を痛めているカワイは練習を再開したが、まだ接触ありのメニューは行っていない。そもそもこの現状の課題解決をケガから復帰するカワイ一人に託すのは間違っており、今プレーできるメンバーで何とか立て直し、カワイ復帰を待たなければならない。