第4クォーターに均衡状態から抜け出す貴重な連続得点

11月1日、アルバルク東京は千葉ジェッツをホームに迎えた。ともに強度の高いプレーを序盤から継続する激しい戦いの中、ここ一番の決定力で上回り78-69で試合を制した。千葉Jの開幕からの連勝を10で止めたA東京は、これで連勝を7に伸ばしている。

互角の立ち上がりで迎えた第2クォーター、A東京は千葉Jの激しいインサイドアタックを受けて29失点と苦戦。しかし、オフェンス面では3ポイントシュートが10本中7本成功と、長距離砲の爆発によって同点で前半を終えた。

後半になっても緊迫した僅差な状態が続く。しかし、第4クォーター残り4分半からA東京は安藤周人のレイアップシュートや、3ポイントシュートによる連続得点で1ポゼッションを争っていた均衡を破り71-66と5点差に。これで抜け出したA東京は、この試合で21得点、7つのオフェンスリバウンドを含む15リバウンド4アシスト3ブロックと大暴れだったセバスチャン・サイズの攻守に渡る活躍で千葉Jの反撃を阻止。第4クォーターをわずか10失点に抑えたことで難敵から大きな勝利を挙げた。

A東京のデイニアス・アドマイティスヘッドコーチは「オフェンスではターンオーバーが少なかった。ディフェンスは40分間、フィジカルをしっかり保ち、それぞれが1対1の守りでしっかりと役割をこなした。また、千葉ジェッツさんはどんどん走るチームですが、速攻を抑えることができました」と試合を総括する。

そして指揮官は「今日はインテンシティのレベルが高かったことが勝因だと思います。特に40分間、集中力を切らさずにやり続けました」と続ける。また「みんなが良かったです」と語った上で次の選手たちについて言及する。「セバ(サイズ)選手はディフェンスに加え、オフェンスでここぞの場面で得点を取ってくれるなど本当に素晴らしかったです。また、周人とオサ(小酒部泰暉)がペリメーターのディフェンスでしっかりと身体を張ってくれました」

この試合、安藤はフィールドゴール11本中3本成功の8得点とシュートタッチは良くなかったが、第4クォーターに試合の流れをチームにもたらす貴重な連続得点を決めた。守っては渡邊雄太にマッチアップするとフィールドゴール9本中1本成功の3得点に抑える貢献をし、攻守で大きなインパクトを与えた。

「雄太とは同学年ですし、ずっと楽しみにしていたマッチアップ」

安藤は試合をこう振り返る。「まずは千葉ジェッツさんの連勝を10で止められたのはすごくうれしいことです。チームとしては中々、メンバーが揃わない中、総力戦で勝ちきれたと思います。連続で3ポイントシュートを決められた時も集中力を切らさずに自分たちのやるべき、相手のオフェンスリバウンドを止めることをしっかりできた結果だと思います」

自身のプレーについて聞くとオフェンスは「今日のパフォーマンスはあまり良くなかったと思います。最後に決めきれましたが、前半であまりリズムがつかめなかったのが今日の反省点です」と厳しい自己評価だ。ちなみに第4クォーターに決めたレイアップシュートはゴール中央へと切れ込んで沈めたものだったが、第2クォーター終盤には同じ状況でパスをしてターンオーバーに繋がっていた。第4クォーターでは強気にアタックできた理由として、チームメートの叱咤があったと明かす。

「あのターンオーバーは、チームメートに『そんなに?』と思うくらい怒られました。おかげで次はミスをしても良いから絶対に打とうと思いました。それで果敢にアタックした結果、決めることができました。ああやって言われたことでスイッチが入りました。今シーズン、よりみんなで言い合うようになったことで、チームとして良い方向に進んでいると思います」

また、渡邊へのディフェンスは「雄太とは同学年ですし、ずっと楽しみにしていたマッチアップでした。彼がこんなもので終わらないことは僕が一番わかっています。明日、絶対により気合いを入れてくると思うので、楽しみつつ、しっかりと抑えるべきポイントを抑えることで調子に乗せないように頑張りたいと思います」と気を引き締める。

206cmの渡邊に対し、安藤は190cmと大きな高さのミスマッチはあるが、そこは特に気にせずプレッシャーをかけ続けていく。「打たれることは仕方ないと思うので、いかに気持ち良く打たせないか。リズムを少しでも狂わせるのは誰でもできるのでフィジカルにやり続ける。明日、出だしから彼が嫌がることをやっていきたいです」

この勝利でA東京は開幕4連敗からの7連勝。連敗時には離脱していた中心選手が戻ってきたことに加え、安藤は「主力がいなかった時に一つ土台を作られたのが良い経験です。あの4連敗があったからこそ、今の軸となる部分ができ、チームの引き出しが増えました」と苦しい時期に我慢できたことがチームの底上げに繋がったと見ている。

実際、引き出しが増えた部分は、この試合の終盤にしっかりと見えた。昨シーズンのA東京といえば、ここ一番ではテーブス海とライアン・ロシターの2メンゲームが主体だったが、安藤が「今シーズンは誰でも点数が取れる状況を目指しています。そのための信頼関係が少しずつできていると思います」と語るように、今回は2人以外での崩しも目立った。昨シーズンと違うスタイルへの自信をさらに深める成功体験として今夜、A東京は千葉Jから大きな価値のある同一カード連勝を狙っていく。