アル・ホーフォード

『ここで動かなければずっと下位チーム』の圧力

セルティックスはこの夏、全く新たなチームに生まれ変わることになるかもしれない。カイリー・アービングに続き、アル・ホーフォードも来シーズンのプレーヤーオプションを破棄してフリーエージェントになる決断を下した。

もともと、ホーフォードとセルティックスはこのオプションを破棄してフリーエージェントになる代わりに、年俸額は少なくなるが新たに3年契約を結ぶ交渉をしていたと見られている。ただし、支出を抑えながら計算できるベテランを残すプランは、横やりが入れば崩れてしまうもの。ホーフォードは33歳のベテランではあるが、セルティックスの3シーズンで68試合、72試合、68試合とほぼフル出場を続けており、勝利のために精力的に働く姿、ゴール下での勝負強さはまだまだ健在。コート内外で模範となる彼を獲得したいと願うチームは多く、フリーエージェントになった途端にレイカーズ、クリッパーズ、マーベリックスが契約に向けて動き出したと噂される。

ジェイソン・テイタムを筆頭に有望なタレントを揃えるセルティックスだが、優勝を狙うにはチームの要としてのホーフォード、カイリーのクラッチプレーは欠かせない。この両者が揃って退団するとなれば、セルティックスはもはや別のチームになってしまう。

有望なフリーエージェント選手には必ず興味があると噂が出るレイカーズはともかく、クリッパーズとマブスもホーフォードの獲得を狙っている様子。これは西カンファレンスに起きると予想される変化を見越してのものだ。来シーズンのウォリアーズは慰留に成功したとしてもケビン・デュラントとクレイ・トンプソンが少なくともシーズン終盤まで使えない。そして、ロケッツもクリス・ポールが退団することになりそうだ。

つまり、勢力図が大きく塗り替えられそうなシーズンを前に、どのチームにも一気に飛躍するチャンスが広がっているということ。逆に言えば、ここで動かなければずっと下位チームであることに甘んじなければならない。明日のNBAドラフトも含め、どのチームがどんな意図で動くかは興味深い。アル・ホーフォードのような優秀なフリーエージェント選手にとっては、予想外の大きな契約を勝ち取るチャンスでもある。『激動の夏』が幕を開けた。