ゲームウィナーのシュート「必ず決めるつもりだった」
セブンティシクサーズはホーム開幕戦でホーネッツを125-121で破り、開幕2連勝を飾った。前半はリードしたものの、後半はホーネッツに最大11点のリードを許す苦しい展開にはなったが、満員のアリーナの後押しを受けて土壇場で逆転勝ち。約1万9000人のファンが歓喜に沸いた。
クエンティン・グライムズはベンチからの出場ながら30分のプレータイムを得て、24得点を記録。残り14秒で勝ち越しの3ポイントシュートを決める殊勲の働きを見せた。勝ち越しのシーンは、タイリース・マクシーがトップの位置でボールをキープし、ホーネッツ守備陣がブリッツを仕掛けた瞬間にパスをさばき、グライムズが躊躇なくシュートを放ったものだった。
「ブリッツに行けばパスが出るから、必ず決めるつもりだった」とグライムズは言う。シクサーズベンチの前でこのシュートを決めたグライムズはチームメートに囲まれて大喜びしたが、やるべきことは理解していた。「気持ちを切り替えて、もう一回ディフェンスをする必要があった。僕らは相手を止め、リバウンドを取ってファウルゲームにした。試合に勝つためなら何でもする、というのはそういうことさ」
開幕戦のセルティックス戦に続いての逆転勝ち。指揮官ニック・ナースは第4クォーター途中に「前の試合と同じ状況だ。今日もやれるぞ」と選手たちを励ましていた。グライムズはその指揮官による日々の準備が試合で役に立っているという。
「5対5でもディフェンスのドリルでも、常にそういうシチュエーションが設定される。僕らはいつも追い込まれた状況で競い合っているんだ。それが試合でのああいう粘りに繋がっている。この2試合がまさにそうだ。みんな毎日練習場で全力を尽くしている。試合の重要な局面で勝つ方法を見いだせるのは、その成果だよ」
ナースはグライムズをベンチから起用するが、調子が良ければスターターと同じく30分以上プレーさせる想定だと話す。試合途中で投入され、展開に応じたプレーをするのは簡単ではないが、グライムズが適任なのは確かだ。
「プレータイムがどれだけかに関係なく、どんな形であれチームに貢献したい」とグライムズは言う。「このチームのみんなは僕のプレースタイルを理解して、僕が自分らしくプレーできるよう後押ししてくれる。素晴らしい仲間に支えられている以上、僕としてはベストを尽くすだけだ」
it's LOUD in South Philly y'all pic.twitter.com/l91gmySjSK
— Philadelphia 76ers (@sixers) October 26, 2025
プレータイム制限中のエンビードも調子は上向き
ヒザが万全ではないまま出場しているジョエル・エンビードは、プレータイムが20分に制限されている。この試合では後半早々に20分を使い切り、その後はプレーしなかった。勝負どころをベンチで過ごしたが、ナースは「リズムが良い間にできるだけ長くプレーさせたかった」と、あくまでエンビードのための起用だと説明する。
エンビードにとっては思うようにプレーできずストレスの溜まる状況だが、勝っていればそれも和らぐ。「全員がすべての力を出して戦っている。勝っていようが負けていようが関係ない。今日の試合に負けていたとしても、チームメートを誇りに思う。そういう戦いぶりだった」
MVPを受賞した時の動きのキレは戻っていない。それでも堅実に、献身的にプレーし、外に出るとマークが甘いことを利用して6本の3ポイントシュートを放って3本を決め、20得点を挙げた。「プレシーズンはまったくの別物で、開幕戦は感覚を取り戻すので精一杯。でも今日は違った。20分しかプレーできない中でベストを尽くしたつもりだ」
エンビードは少しずつ調子を上げることが期待されるが、昨シーズンの最低だったシクサーズと今の違いは「エンビードがいれば」、「ポール・ジョージがいれば」というチームではなくなったことだ。マクシーもグライムズも得点が計算でき、VJ・エッジコムも即戦力ルーキーとして活躍している。この試合ではベテランのアンドレ・ドラモンドがエンビード不在のディフェンスとリバウンドで奮起したのも大きい。
チームが変われば、観客席の雰囲気も変わる。低迷を極めた昨シーズンは観客数が減り、熱気もなかった。その状態のシーズン後半戦しか経験していないグライムズは、この変化を感じ取って大いに喜んでいる。
「ニックスでプレーしていたころ、このアリーナはいつも盛り上がっていた。そのホーム側でプレーする立場になれて良かったよ。NBAで最高のファンの一つだと思っているよ」
