名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

「安定して勝つにはディフェンスが必要です」

10月12日、名古屋ダイヤモンドドルフィンズはホームで大阪エヴェッサと対戦。最後まで集中力高く、強度の高いプレーを維持することで87-70と快勝した。これで名古屋Dは同一カード連勝を達成している。

名古屋Dのショーン・デニスヘッドコーチが「大阪さんがフィジカルにアタックしてくるのはわかっていて、ウチの選手はメンタル面でしっかり準備ができていました。プレシーズンを含めて多分、今日は一番良いスタートを切れました」と称えたように、出だしから激しいディフェンスを披露。第1クォーターだけで10個ものターンオーバーを誘発し、27-12と先制パンチに成功。その後も、常に2桁のセーフティーリードを保つ盤石の試合運びだった。

名古屋Dはここまで4試合の中で勝った3試合の失点は56、66、70とロースコアに抑え込んでいる。まだシーズンは始まったばかりだが、5年目の指揮を執るデニスヘッドコーチは「今、ディフェンスの仕上がりに満足しています。この試合でもオフェンスリバウンドで17-9、ターンオーバーで12-19、ポゼッションゲームで大きく勝つことができたのがよかったです」と振り返ると、ディフェンスに大きな自信を見せる。

「安定して勝つにはディフェンスが必要です。私が名古屋に来てからこのグループが一番良いディフェンスだと思います。それはプレシーズンで負けた時でも証明しています」。こう語るデニスヘッドコーチは、名古屋Dの特徴であるチェンジングディフェンスについても、「このグループが一番馴染んでいます」と続ける。

今オフ、名古屋Dは昨シーズンにファイティングイーグルス名古屋でスティール王を受賞したフォワードのアーロン・ヘンリー、さらに昨シーズンは使っていなかった帰化枠でカイル・リチャードソン、久しぶりの復帰となるアラン・ウィリアムズの両ビッグマンを補強した。デニスヘッドコーチは、彼ら新戦力のもたらす効果をこのように語る。

「去年のチームを見てフィジカルを強化しようとウィリアムズ選手、ヘンリー選手を加えたことがよかったです。そしてカイル選手を忘れてはいけないです。今日も10リバウンドを取り、相手のレイアップを何度も外させました」

ショーン・デニス

齋藤「この4試合に関しては、アーロン・ヘンリー選手の存在がかなり大きい」

今シーズンが在籍6年目と、デニス体制のすべてを経験している齋藤拓実も守備について好感触を得ている。「今シーズンはディフェンスがかなりよくなっています。まだ開幕4試合を終えただけで、推測の部分も含めてですが、これまでしっかり守ってシュートを外させてもリバウンドを取りきれなかったところが、カイル、アランが入ることでしっかり取り切れることが増えてきました」

さらに齋藤は、「この4試合に関してピンポイントで言うと、アーロン・ヘンリー選手の存在がかなり大きいと思います」と続ける。「対人のディフェンスで、ヘンリー選手は今回(大阪の得点源)マット・ボンズ選手についている時間帯が多かったですが、かなりストレスを与えていました。バチっとスイッチが入った時はドライブをさせない、シュートも打たせないようにしていました。オフボールに関してもスティール王をとった鋭いボール嗅覚の持ち主で相手の見えないところでパスカットしたり、ブロックを決めることができる。これは今までのドルフィンズになかった存在だと思います」

一方、オフェンスに関して言えば、今シーズンの名古屋Dはリーグ随一のパスセンスを誇る齋藤に加え、卓越したハンドラーであるヘンリー、今村佳太も在籍と、個で打開できるタレントが揃っている。それ故の贅沢な悩みでもあるが、個々が持ち味を発揮できるようバランスの最適解を見つけるのは簡単なことではない。

デニスヘッドコーチも「いろいろなことができるのが強みですが、お互いの持ち味をどうやって使っていったらいいのか、何が一番良い方法なのか自分たちも探っているところです」と試行錯誤の段階にあると語る。指揮官は「だからこそオフェンスが噛み合うまで、ディフェンスがより重要となります」と、守り勝てていることへの手応えを語る。

齋藤はハンドラー同士の連携について「先週はそこでうまくいっていない部分があったので、ポイントカードとしてどういったところでストレスを溜めさせてしまったのかヘンリー選手と直接話しました」と明かす。その上で、「僕、ヘンリー選手、今村選手など誰もがクリエイトできるシステムになっています。また、誰でも得点のチャンスができるスペーシングの話をしていて、今週はその部分がかなりうまくいきました」と、発展途上な中でも進歩を感じている。

昨シーズンの名古屋Dも開幕4試合は3勝1敗だったが、ここから勝ち負けを繰り返すなど前半で貯金を増やせなかったことが最終的にチャンピオンシップ出場を逃す大きな要因となった。昨季の二の舞を避けるためにも、これからディフェンスでいかに勝ちをつかんでいけるかが重要となる。