
スタイルを徹底した北海道が接戦をモノにする
10月5日、レバンガ北海道はアウェーで名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦した。序盤からリードを築いたものの第3クォーターで名古屋Dの猛追を受け、最終クォーターは一進一退の攻防に。しかし最後まで粘りを見せて、77-81で今シーズン初勝利を挙げた。
試合開始から名古屋Dのミスを突いて、速い展開に持ち込んだ北海道はリズム良く得点を重ねていく。前日の試合で8得点にとどまった富永啓生は、第1クォーターだけで8得点を記録してチームを牽引。残り1分を切ったところでジャリル・オカフォーと島谷怜が連続スティールを決めて得点に繋げると、このクォーターに名古屋Dから6本のターンオーバーを誘発して、主導権を握り26-22とリードする。
第2クォーターになっても北海道はディフェンスからの速い展開を徹底。ジョン・ハーラーがファウルトラブルとなったが、日本人ビッグマンの木林優が奮闘を見せてチームとして変わらぬ強度を保ち、45-38とリードを広げて前半を終える。
後半に入ってもドワイト・ラモスがスティールやアシストでチームを牽引して、リードを広げる。ラモスの連続得点が決まった後半開始4分半には、この試合最大の15点リードを築くことに成功。しかし、その後は名古屋Dのインサイド陣にオフェンスリバウンドを取られてリズムを崩されると、セカンドチャンスからの猛攻に押されてしまいリードを3点まで溶かして最終クォーターを迎える。
第4クォーターに入っても名古屋Dのビッグマンにインサイドを立て続けに割られて、ついに逆転を許した北海道だったが、オフェンスリバウンドを取られても粘り強く守り簡単にゴール下を決めさせず、流れを明け渡さなかった。同点となった残り3分3秒から2分間以上に渡り、両者ともに得点が動かないディフェンシブな展開となったが、ケビン・ジョーンズとラモスが得点を挙げて、残り14秒で北海道が4点のリード。富永のオフェンスファウルでポゼッションを受け渡すミスがあったものの、最後はラモスが名古屋Dのインバウンズをカットして接戦をモノにした。
試合後、北海道のトーステン・ロイブルヘッドコーチは勝因を次のように話す。「昨日と比較してオフェンス力が強くなりました。昨日できなかったことをしっかりと調整して、スピードの面や全員でオフェンスにからむこと、ボールの動きなどが良かったです」
ファストブレイクポイントは18点、相手のターンオーバーは20本、そのターンオーバーからの得点は27点。ロイブルヘッドコーチが就任後から話している「速いバスケ」と「ハードワーク」を体現した上での勝利だった。

ラモス「個人的には初めて名古屋Dに勝つことができて良かった」
今シーズンからBリーグでプレーすることになり注目を集めていた富永は、20得点を記録してチームの期待に応えた。ロイブルヘッドコーチは、得点力以上にチームスタイルを徹底した富永を讃える。「富永選手は先頭に立って走り、ペースを上げてくれました。それは彼が3ポイントを決めるよりも、チームにとって大事なことでした」
もう1人、勝利に大きく貢献したのがラモスだった。チーム最多となる29得点に加えて、3リバウンド3アシスト3スティールとオールラウンドに活躍。ロイブルヘッドコーチは「とてもアグレッシブに攻めてくれたので、チームとしても改善と成長ができました」とラモスのオフェンスの核としての活躍を評価する。
富山グラウジーズでBリーグキャリアをスタートして、今シーズンで北海道での在籍が4年目となるラモスは「個人的には日本でのプレーが5年目になりますが、初めて名古屋Dに勝つことができてよかったです」とうれしそうに語った。
チームハイの得点は、自分の力だけではないと強調する。「富永選手がコートに立っていることで、相手は彼をどうやって止めようかとディフェンスをしてきます。その状況から判断してスペースを見つけることができ、自分がチャンスだと思い攻められました」。その上で、いつも通りのプレーを心がけた結果だと続ける。「ただ、個人的にはあまり考えすぎないでプレーすることで良い結果が出せると思っているので、状況を見ながら直感を信じてプレーをしています」
29得点は目を引く内容でヘッドコーチもそれを讃えるが、ディフェンスでもチームを支えた。相手の得点源であるヘンリーとマッチアップする時間も長く、わずか9得点に押さえ込むことに成功。ラモスは自身とチームのディフェンスを次のように評価する。
「ヘンリー選手は、身体能力が高くオールラウンドにプレーできる素晴らしい選手です。今日は彼の前にしっかりと立ってシュートを打たせることを意識していました。ただ、自分だけではなくスイッチしてビッグマンが彼を守ったり、いろんな状況があったのでチームとして守れた結果だと思います」
開幕前の評価が高かった名古屋Dをアウェーで破り、大きな自信となっただろう。しかし、ラモスは満足することなく次に意識を向けている。「前日の試合のことを考えてプレーすることはせず、今日の試合に集中してプレーしていました。今はもう次の広島ドラゴンフライズ戦のことを考えています」
日本でのプレーも5年目となるが、これまでラモスはチャンピオンシップ進出の経験がない。今シーズンは新体制となり、富永やオカフォーといった強力な選手もチームメートとなった。新生レバンガの実力を証明するラモスの挑戦は始まったばかりだ。