「2カ月間の練習でやってきたことを、あまり出せなかった」

10月4日にシーホース三河は、ホームに群馬クレインサンダーズを迎えて今シーズンの初戦を戦った。

三河は須田侑太郎の連続得点から久保田義章の3ポイントシュートが決まり最高のスタートを切ったが、第1クォーター終了間際に群馬に逆転を許し、その後は終始追いかける展開に。点差を広げられながらも何度も追い上げ、2点ビハインドで第3クォーターを終えたが、セカンドチャンスポイントを連続で許して失速。結果的にこのクォーターを9-24と圧倒され、ホーム開幕戦を落とした。

三河のライアン・リッチマンヘッドコーチは、次のように試合を振り返る。「前半はスロースタートでターンオーバーも多かったです。ただ、第3クォーター終了までは良いプレーも多く見受けられたと思います。オフェンスリバウンドは相手に多く取られてしまったので、明日に向けて改善します」

敗因の1つとなったターンオーバーは14個。そのターンオーバーから21失点を喫した。「相手のディフェンスで起こったこともありますが、自分たちのメンタルの部分で起きたこともありました。自分たちから崩れてしまうミスを減らしていきたいです」

先発ガードの久保田も、リッチマンヘッドコーチ同様にメンタルに言及した。「出だしは良かったですが、2桁点差となっても我慢し得点差を戻せて前半を終えることができました。後半も出だしは良かったですが最後の大事な場面で、リバウンドやルーズボールを勝ち取る気持ちが相手より弱かったと思います」

目標に届かなかった昨シーズンのリベンジに燃える中、迎えたホームでの開幕戦。気持ちを入れて臨んだが、それが良い方向に働かなかったと話す。「これまで2カ月間の練習でやってきたことを、あまり出せなかった印象です。最初の試合ということもあり、みんな気合が入っていて『自分がやってやるぞ』という気持ちが強かった。セルフィッシュになる部分や行き過ぎたプレーでターンオーバーが増えました」

そう振り返りながらも、久保田は前を見据えている。「それを修正して、個人で行くべきところとチームプレーをするべきところのバランスを取りながら、全員で遂行していければと。練習してきていることを出すだけなんで。それ以外のことは試合中は求められていない」

「シーズンが始まって1試合目で、みんな顔を下げているわけじゃない」

リッチマンヘッドコーチが話した通り、良いプレーもたくさんあった。特に第3クォーターに見せたゾーンディフェンスを絡めたチェンジングディフェンスは群馬の攻め手を摘み、一気にビハインドを縮める流れを作った。

それに久保田も手応えを感じつつ、よりフレキシブルに考えて使っていきたいと話す。「チェンジングディフェンスがハマっているなら最初からもっとやっても良いかなと。相手のリズムを崩す意味で、チェンジングは強みなのでコミュニケーションを取りながらコート上の5人で判断しても良かったと思います」

三河は日本人選手が全員継続して、積み上げを重視した。ザック・オーガスト(現・滋賀レイクス)は退団となったが、アーロン・ホワイトと帰化選手のトーマス・ケネディが新加入。セカンドユニットで出場する彼らと、先発で出場する久保田はコート上で一緒にプレーする時間は長くないものの、ポイントガードとして彼らとの連携にも自信をのぞかせる。

「アーロンは3ポイントが上手ですし機転が利くのでパサーにもなれます。僕が一緒に出れば状況を見て判断して、彼がやりやすいプレーを選択することができると思います」

「TK(ケネディの愛称)は日本人がマッチアップしていればインサイドで確実にミスマッチが作れますし、3ポイントが爆発すればそれを生かしたセットプレーをコールできます」

二人の能力は疑いようがないが、あくまでそれをチームの中で生かしていく必要がある。久保田が言うようにチームプレーを遂行することが勝利に近づく方法であることは間違いないため、新加入選手と継続選手が融合して一枚岩になることが求められる。最後にホームで絶対に連敗できない第2戦に対して、久保田はこう意気込んだ。

「まずは相手より勝ちたい気持ちを出すべきですし、頑張るのは当たり前ですが、一つひとつのルーズボールやリバウンドもあと一歩やれます。まだシーズンが始まって1試合目でみんな顔を下げているわけじゃないので、バウンスバックは全員が考えていることです」