「すべてのポゼッションを大事に、丁寧に戦う」

EASL(東アジアスーパーリーグ)は今シーズンから出場チームが8から12へと拡大し、これまで2つだった日本の出場枠も3つに増えた。3つ目の枠は天皇杯王者に与えられるが、琉球ゴールデンキングスはすでにりそなグループB.LEAGUE FINALS 2024-25 進出で出場権を得ており、第100回天皇杯準優勝のアルバルク東京がEASL初出場となる。

日本と台湾から3、韓国から2、フィリピン、モンゴル、香港、マカオが各1の12チームが、3つのグループに分かれて10月からホーム&アウェーのグループリーグを戦い、各グループの上位2チームが決勝トーナメントに進出する。ここからは新方式の「Round of 6」で東アジアの王者を決める。

2018年と2019年にBリーグを連覇し、2019-20シーズンの最初に『FIBAアジアチャンピオンズカップ』で優勝したA東京だが、それ以降はタイトルから遠ざかっている。今シーズンはBリーグ、天皇杯、EASLと3つの大会に参加するが、ヘッドコーチを務めるデイニアス・アドマイティスは目の前の試合での必勝を期し、その結果としてどのタイトルも勝ち取りにいくつもりだ。

「Bリーグのレギュラーシーズンでベストを尽くすべく準備を進めている。今シーズンは何が何でもチャンピオンシップに駒を進めて、優勝まで戦い抜きたい。それと同時に国際大会のEASLもあり、Bリーグを代表して、日本を代表して出場する以上は一つの目標となる」とアドマイティスヘッドコーチは語る。

「短期決戦のトーナメントは、選手にとって非常に良い経験となる。国際大会でプレーしている選手もいるが、初めての経験という選手もいる。チーム全体で、目の前の1試合だけを見据えて戦う。そうやって集中力を切らさず、最後のゲームまでフォーカスし続ける。そういう意気込みで、まずは1戦目に焦点を当てて戦っていきたい」

この大会を戦う上でのポイントに、アドマイティスヘッドコーチは『対応力』を挙げた。「いかにチームがアジャストをできるか。初めて対戦するチーム、異なるルールがある中、短期決戦で自分たちらしさ、持ち味を出し切ることが大切だ。得失点も意味を持つので、一試合一試合、すべてのポゼッションを大事に、丁寧に戦っていきたい」

テーブス海

テーブス海「ここ数年ですごく盛り上がっている大会」

今オフも日本代表として国際経験を積んでA東京に戻って来たテーブス海は、「ここ数年ですごく盛り上がっている」とEASLの印象を語り、大会への意気込みをこう語った。「昨シーズンは広島ドラゴンフライズが優勝して、今年もBリーグから3チーム出場するので、日本を代表してアジアの強豪と戦えるのは、スケジュールはタフですが非常に大きなチャンスだと考えています。アルバルク東京として、優勝を狙って頑張りたい」

「EASLに限らず天皇杯でも、去年より点数を取りたいという気持ちはありますが、チームのコアなアイデンティティがディフェンスファースト、アンセルフィッシュで遂行力の高いチームであることは変わらないと思うので、そこは常に意識しつつ、アルバルクらしいバスケで優勝を狙いたい」

A東京のEASL初戦は、10月8日に京王アリーナTOKYOで行われるザック・ブロンコス(モンゴル)戦。初参戦のチームだが、6月のFIBAバスケットボールチャンピオンズリーグアジアには予選を勝ち抜いて参戦し、準決勝で宇都宮ブレックスに敗れたものの3位に食い込んでいるだけに油断のできない相手だ。

他には昌原LGセイカーズ(韓国)とニュータイペイ・キングス(チャイニーズ・タイペイ)と同組となる。ニュータイペイ・キングスは昨シーズンのEASLでファイナル4に進出し、3位決定戦で琉球ゴールデンキングスを撃破している。今シーズンからはジョン・パトリックが指揮官に就任。約20年前ではあるがA東京の前身であるトヨタ自動車のヘッドコーチを務め、2023-24シーズンまで千葉ジェッツの指揮を執るなど日本のバスケを熟知している『ジョンパト』が率いるニュータイペイ・キングスが、グループリーグにおける最大のライバルになりそうだ。

A東京は新加入のブランドン・デイヴィスに続き、攻守のキーマンであるライアン・ロシターも開幕前に戦線離脱する厳しい立ち上がりとなる。試合数の多いシーズンとなるが、レベルの高い試合を重ねる中で戦い方のバリエーションを広げつつ、A東京の持ち味である組織力を高めていくことが、覇権奪還には不可欠な要素となる。