ジェイレン・ブランソンに続く2番手のガードに

マルコム・ブログドンは2021年に2年4500万ドル(約68億円)の契約を当時所属していたペイサーズと結んだ。しかし、この契約が始まる前に、彼はセルティックスへとトレードされた。得点力のあるガードを必要としたセルティックスの期待に応え、ブログドンは2022-23シーズンにシックスマン・オブ・ザ・イヤーを受賞。しかし、カンファレンスファイナルでヒートに敗れると、フロントはブログドンを放出してクリスタプス・ポルジンギスの獲得に動いた。

このトレードは結局、ブログドンではなくマーカス・スマートを交換要員として成立したのだが、一度放出要員と見なされたブログドンはその数週間後にドリュー・ホリデーとのトレードでトレイルブレイザーズに放出された。さらに、再建中のブレイザーズから同じく再建中のウィザーズへ。2年4500万ドルの高額収入は得られても、勝てないチームでモチベーションを見いだせず、ケガを繰り返したこともあってインパクトを残せなかった。

そして今オフ、彼はフリーエージェントになったが、2年で63試合にしか出場しておらず、勝てないチームで役割も曖昧だった上に、市場が冷え込んでいることもあり、良いオファーは届かない。この時期になってようやく、ニックスへの加入が決まった。

1年330万ドル(約5億円)の非保証契約は、彼にとっては厳しい現実だ。同じく非保証契約のランドリー・シャメット、ギャリソン・マシューズと正式なロスター入りを争うことになる。

それでも、健康を取り戻していればブログドンの価値はシャメットとマシューズを上回るだろうし、トム・シボドーからマイク・ブラウンへと指揮官交代のあったニックスでは、セカンドユニットの重要度が大幅に増している。シボドーが去った以上は『ジェイレン・ブランソンを休ませる間に試合を任せられるガード』が必要となり、平均20得点を挙げていたペイサーズ時代、シックスマン・オブ・ザ・イヤーを受賞したセルティックス時代のパフォーマンスを取り戻せれば、キャリアのV字回復は十分にあり得る。

ブログドンとのトレードでペイサーズに移籍したアーロン・ネスミスは、直近の2シーズンで大きなステップアップを果たした。同じくセルティックスがトレードしたドリュー・ホリデーは、バックス時代に続いてNBA優勝を勝ち取った。一方でブログドンは移籍のたびに苦しい状況に追い込まれている。今回のニックス移籍が悪い流れを断ち切る一手になるか。ブログドンのNBA10年目のシーズンは、選手としての真価が問われる挑戦となる。