アルバルク東京でチーム編成の重責を担う伊藤大司ゼネラルマネジャーは、強豪クラブゆえの大きなプレッシャーを受ける一方で、そのプレッシャーをやり甲斐に変えて日々の業務にあたっている。新アリーナ『TOYOTA ARENA TOKYO』開業でクラブにとって大きな節目となる今シーズンへの意気込みを聞いた。
選手獲得で大切にするポイント
──リーグ屈指の強豪であるアルバルク東京のGMならではの醍醐味とプレッシャーは何だと思いますか?
醍醐味は常に優勝を狙える位置にいるところです。ヨーロッパのトップでプレーする選手など、チームをグレードアップできる選手を獲得して、チームに変化をもたらすことができる点だと思います。おっしゃるようにプレッシャーも大きいですし、優勝するチームを作るのは難しいです。ただ、勝つことこそがやり甲斐に繋がっています。
──リーグ屈指のビッグクラブとして海外からも玉石混交の売り込みがあると思います。経験を重ねることで判断の精度は上がったという感覚はありますか。
GMに就任した当時は「こんなビッグネームの売り込みがあるんだ!」と驚いたこともありましたが、それが現実的なものかどうなのか……例えば「エージェントがマネーゲームをするためにウチの名前を使おうとしているだけだな」といったことがだんだんとわかるようになってきました。今でも「Bリーグの評価は上がってきているな」と感じる売り込みはありますが、驚かなくなりましたね。
──選手を獲得する際に、能力とサラリー以外に重視するポイントはありますか。
まず日本の文化とバスケットボールをリスペクトできるか、そして現状に満足せず「もっとうまくなりたい」というハングリーさを持っているか。セルフィッシュな選手ではないことも大切ですし、「ちょっと痛いから休みます」と言うことなくタフであることも重要視しています。その上でアルバルクのスタイルにフィットするかを考えて見極めをしています。
──伊藤GMは高校時代にケビン・デュラントとルームメートで今でも親交が厚いと聞いています。周囲から「デュラントを獲得して」と言われませんか?
めちゃくちゃ言われます(笑)。彼がこれまで着けてきた背番号のうち「35」は空いています。また、彼が今シーズンから加入するロケッツの本拠地の名前は、『TOYOTA CENTER』で、『TOYOTA ARENA TOKYO』と名前も似ています。さらにロケッツのチームカラーは赤と黒でアルバルクと同じです。ちょっとずつ近づいているとネタとして話しています(笑)。
「チームと一緒に新たなチャレンジを楽しんで」
──毎シーズン、それぞれ状況は違いますが、チャンピオンシップで勝ちきれない結果が続いています。共通の課題や乗り越えるべき壁はあると思いますか。
正しいタイミングで、いかにチームとしてホットになれるか。例えば天皇杯は今回からフォーマットが変わり、ファイナルラウンドは年始に1週間かけてトーナメント制で優勝を決めます。この間、いかに調子のピークを合わせて良い状態に持っていけるか。これはチャンピオンシップも同じです。難しいことですが、チームにとって大事な部分です。
──新アリーナはバスケットボール界以外からも大きな注目を集めています。だからこそ、これまで以上に開幕から大きな注目を集める。スタートダッシュがより求められる部分もあると思います。
毎シーズン優勝を求められており、当然シーズンの入り方は大事にしています。特に今回は新アリーナでの先出し開幕かつ、相手が宇都宮ブレックスということでゲーム1から注目されるので、完成度の高いパフォーマンスを見せないといけません。選手たちはプレッシャーもあるでしょうが、注目されているからこそ自分たちの力を示すチャンスと気概を持ってくれていると思います。
──最後に開幕に向けてファンへのメッセージをお願いします。
シーズン開幕戦は素晴らしいチームを相手にした新アリーナで初の公式戦で、新しい章のスタートにふさわしい試合です。チームにとって大きなチャレンジとなりますが、ファンの皆さんには一緒に戦っていただきたいです。そしてチームと一緒に新たなチャレンジを楽しんでいきましょう。