起死回生の4ポイントプレーで逆転劇の立役者に
5月6日、琉球ゴールデンキングスは大阪エヴェッサ相手に第3クォーター残り約2分半で20点の大量リードを奪われていた。チャンピオンシップ最後の出場枠を巡って激しい戦いを繰り広げてきた両チームだが、この試合を前にした状況では琉球が大阪を上回るには2連勝しなければいけなかった。つまり、琉球にとってはシーズン終了となる絶対絶命のピンチに陥っていた。
しかし、ここから琉球は猛烈な追い上げを開始する。リーグ随一のバスケットをよく知り、熱狂的な声援を送る観客が、ここ一番の勝負どころで会場を大歓声で包み込んでチームを後押しすると、選手たちもそれに応え、徐々に点差を縮めていく。
とはいえ、残り2分を切った時点で、まだ4点のリードを許していた。バスケットボールの試合では、大量リードを許したチームが良い意味で開き直った積極的なプレーをすることで点差を大きく縮めることはよくある。だが、あと一歩のところで追い上げは届かず、最終的にはリードを奪ったチームが逃げ切るというのは、このレギュラーシーズン中に何度も見られてきた光景だ。
だが、今回の琉球は、そんなバスケのセオリーを乗り越えて勝利を収めた。この鍵となったのは、残り約1分半で起こったテリーのビッグプレー。シュートファウルを受けながら3ポイントシュートを決め、続くフリースローも決める4ポイントプレーで一気に同点に追い付いた。
このプレーで試合の主導権は完全に琉球のものとなり、オーバータイムでの勝利につながったと言っても過言ではない。そして、第4クォーターに4ポイントプレーを含む12得点の大暴れをし、試合全体でもチームトップの21得点を挙げたテリーが、この大逆転撃の立役者であることは間違いない。
気持ちでどれだけ激しく、相手をどれだけ超えられるか
「当然のごとく、この試合がシーズンはここで終わるか、それとも続くかという大事なゲームであることはみんな分かっていました。そこで自分たちの仕事を成し遂げないといけない。その中で結果をなんとか残し、明日へつながった試合だと思います」
このように振り返るテリーは、大逆転をもたらした要因について「まだ、家へ帰る準備はできていない。とにかく自分たちのゲームに戻すことを第一に、勝敗を考えるのはその後でした。まずはもう1回、流れを引き寄せたいという気持ちが強かったです。こんな所で終わるわけにはいかないと、全員が勝利のためにそれぞれの仕事をしっかりして、カムバックの方法を探しました。みんな少しもあきらめなかったことが勝利につながった」と語っている。
テリーといえば、チーム1の個人技の持ち主であり、短い出場時間でも得点を量産できる能力を持っている。その最たる例が3月18日の三遠ネオフェニックス戦で、約24分の出場で42得点を挙げた。ただ、一方で波が激しく安定感に欠ける面もあったが、この試合については伊佐勉ヘッドコーチが称えるように守備面でも我慢強くプレーした。
「名古屋戦が終わってからの2日間、そして今日の朝の練習と良い集中をしていました。テリーをどこかで長い時間使いたいとは試合前から思っていました。途中でスタミナがたまにきれることがありますが、今日は最後まで集中し続けて期待通りのパフォーマンスを見せてくれました」
また、テリー自身も「自分の仕事をするだけ。今日はシュートもそうですが、ディフェンスに重きを置きました。そこは自分の求められた役割はできたと思います」と、守備をしっかりできたことが、攻撃にもつながったと考えている。
勝てばシーズン継続、負ければシーズン終了となる本日の大一番について、「相手がアジャストすることは分かっています。それ以上に気持ちでどれだけ激しく、相手をどれだけ超えられるのか。まずは向こうの勢いを超えていくことが大事だと思います」と、どれだけタフな気持ちで戦えるかを重要視する。
そして、すでにB1全18チームの内、9チームにチャンピオンシップへの可能性が途絶えていることを踏まえ、「すでに多くの選手たちはチャンピオンへの可能性がなくなっています。こういうゲームを戦えるのは幸せであり、特別な思いで戦います」と意気込みを語る。
4ポイントプレーを決めた後、大きな雄叫びを挙げたテリー、再び得点を決めて同じような光景が起きた時、それは琉球が勝利に近づくことを意味している。
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