一般入部からチームの主力として活躍中
筑波大男子バスケットボール部は、長らくチームを率いていた吉田健司が昨シーズン限りで定年退職によって勇退。アシスタントから昇格した仲澤翔大ヘッドコーチのもとで、新たな時代を迎えている。仲澤体制で初めて臨む『関東大学バスケットボールリーグ戦1部』は、ここまで2勝2敗。主力にケガ人が出ていることを考慮すればまずまずのスタートと言って良い。
このリーグ戦、1年生ながらフィジカルの強さを生かしたハッスルプレーで活力を与えているのがグビノグン オサゼ デロックだ。故障者の影響もあるが開幕戦からスタメンで起用され、4試合中3試合で30分以上のプレータイムを得ている。
ナイジェリア出身の両親のもと埼玉で生まれ育ったデロックは、埼玉屈指の強豪・正智深谷高で中心選手として活躍。高校3年時にはゲームキャプテンとしてチームをウインターカップ16強進出へと導いた。
見事な実績を持つデロックだが、バスケ部には推薦ではなく一般入試を経て入部している。高校2年生の12月、心電図に異常が見つかったことで経過観察が必要となり、バスケットボールから離れたことが理由だ。幸いにも問題は見つからずプレーに復帰することができたものの「復帰した高3の8月中旬は、各校のリクルートがほとんど終わっていました」と進路変更を余儀なくされた。
だが、彼は学力によってバスケットボールのキャリアを切り開いた。かねてより両親の教えに従って文武両道を実践していたというデロックは、「関東1部の大学でプレーし、将来プロに行きたい思いもあって、バスケから離れている間も勉強していました。勉強とバスケを両立できたらと思い、筑波大学を目指すことにしました」と振り返った。
「いろいろな形で点を取れる選手になりたい」
デロックは「主に相手の4番などインサイドの選手を守り、リバウンドを取らせない、1対1でやられないというところでは結構やれていると感じています」と、ここまでの自身のプレーを話す。
本人も語るように、今のデロックの主な役割は相手のビッグマンを抑えること。デロックは身長186cmとインサイドプレーヤーとしてはサイズはないが、200cm近いウイングスパンを備えているのが強みだ。
「フィジカルの部分で当たり負けしていないですし、ウイングスパンとジャンプ力で高さを補えていると思います。ポストアップされたら難しいですけど、その前にパスを入れさせない。リバウンドもボックスアウトを頑張るなど、ボールに触られる前の動きをしっかりすればそんなにやられることはないと感じています」
一方、オフェンスに関しては高さの不利を感じることが多いため、外角シュートなど得点パターンを増やす必要があると考えている。「将来的にはフィジカルを活かしたドライブに加え、アウトサイドのシュートも決められるスコアラーを目指しています。ポジションアップして、相手とミスマッチが生まれたらポストアップするなどいろいろな形で点を取れる選手になりたいです」
最後にデロックは、「まず、マッチアップする相手に仕事をさせない。その中でスクリーンをかけたり、リバウンドなど泥臭い部分を頑張ってチームに貢献したいです」と今後の意気込みを語ってくれた。試合を見ればすぐに目につく、デロックのエナジー満点のハッスルプレーはすでに筑波大にとって大きな武器になっている。