
2人のエースが柔軟に役割を変えるオフェンスが機能
ユーロバスケットのグループDには、ルカ・ドンチッチのスロベニア、デニ・アブディヤのイスラエル、そしてザカリー・リザシェイやアレックス・サーのフランスと、NBAの実力者を擁するチームが揃いました。3試合が終わったところで開催国ポーランドが3連勝で首位に立っています。前回大会でもベスト4に進みシンデレラチームとなりましたが、今大会でもサプライズを起こしています。
スパーズのジェレミー・ソーハンがケガで参加を取り止め、NBAプレーヤー不在のポーランドですが、マテウス・ポニツカを中心にアグレッシブなスタイルでハイスコアゲームを展開。強気な姿勢でリードを奪ったかと思えば、試合終盤には時間と点差をコントロールする試合巧者ぶりも見せています。
エースのポニツカが平均19.0得点、帰化選手のジョーダン・ロイドが28.3得点。2人でチームの平均得点85.0の半分以上を奪っており、特に3ポイントシュートはポニツカが53.8%、ロイドは61.9%と驚異的な成功率を誇ります。アイソレーションからのプルアップもあれば、オフボールムーブでオープンにしてのキャッチ&シュートもあり、重要な局面ではポニチカがポストアップし、ロイドがオフボールでシューターとして動き、2人の得点力を噛み合わせた形も作り上げています。
この2人のシュート力でひきつけると、チームで58%と高確率の2ポイントシュートでも加点してきます。初戦のスロベニア戦では、前半にロイドが5本の3ポイントシュートを決めたことで徹底マークされると、第3クォーターはコーナーにポジショニングしてスペースを広げ、ポイントガードのアンジェイ・プルタがドライブで崩していく形へと移行しました。自分たちの強みにこだわりすぎることなく、ディフェンスが警戒していないところから攻めていく上手さも持ち合わせています。
スコアラーとして得点を積み上げることもあれば、プレーメーカーとして起点にもなり、シューターとしてオフボールで動き回ることも、コーナー待機してディフェンスを広げることもできる。ポニツカとロイドは強力なスコアラーですが、2人に頼るのではなく、柔軟に役割を変更しながら個々の特徴を存分に生かしたチームオフェンスが最大の強みです。
ホームの大声援にも後押しされての3連勝ですが、決勝トーナメントでは舞台がラトビアへと移ります。この勢いを維持して前回大会を上回る成績を残せるのか。非常に楽しみなチームです。