リック・カーライル

4年目のベネディクト・マサリンを先発ガードに抜擢

ペイサーズは2年連続の躍進を遂げたが、昨シーズンのNBAファイナルでタイリース・ハリバートンがアキレス腱断裂で長期離脱となり、マイルズ・ターナーが退団。新シーズンは戦力が大きく落ちるが、指揮官リック・カーライルは悲観していない。

NBAアナリストのケイトリン・クーパーのポッドキャストに出演したカーライルは、新シーズンのペイサーズについてこう語る。「今までと異なるバスケをすることになる。フィジカルをより重視し、美しく見えない時もあるだろう。ハリバートンは素晴らしい選手だから、彼の不在を感じる場面も当然出てくる。それでも、我々のファンにとっては楽しみなシーズンになると思っている」

選手の創造性を前面に押し出すハイテンポなバスケというコンセプトは変わらないが、先発は大きく入れ替わる。カーライルはハリバートンに代わるポイントガードはアンドリュー・ネムハードに、シューティングガードはベネディクト・マサリンだと明言した。

3年目のシーズンを終えたマサリンは、ローテーションには入っているが波が激しくカーライルの信頼を得るには至っていない。「フィジカルなプレーで点を取るのが得意で、好きなようにやらせればスタッツは残せる。だが、私が彼に求めるのはチームオフェンスの遂行だ。もっとたくさん走り、チームメートにスペースを提供するために真っ先にコーナーに入るよう伝えた。ベン・シェパードが試合に出られるのは『兵士』としてその役割に徹するからだ。マサリンに先発を任すが、先発で出続けられるかは彼次第。ウチのバスケに馴染むのに苦労しているが、それでも欠点は改善されつつあるし、まだ23歳でいくらでも成長できる」

ネムハードがメインハンドラーを務めるが、相手のエースをマークする役割もあるため、ハリバートンよりはオンボールのプレーが減り、その分のボールハンドラーをパスカル・シアカムにやらせると説明した。

自分のプレースタイルを変えてペイサーズのバスケに適応したという点で、カーライルはシアカムを絶賛した。「実績がある自分にお前たちが合わせろ、と言ってもおかしくない。だがパスカルは私のコンセプトを理解し、順応してくれた。私はフォワードやセンターにもフルコートプレスをやらせるが、彼はそれを受け入れ、完璧に遂行した」

ハリバートンが不在でも、ネムハードとシアカム、シックスマンのTJ・マッコネルにハンドラーを託すことに不安はないとカーライルは言う。一方でディフェンスに注力するネムハードのファウルトラブルに今まで以上に注意しなければならず、消耗しすぎないためにプレータイムを減らす必要もあると付け加えた。

ハリバートンの穴はそうやって埋める想定だが、ターナーの穴をどう埋めるかはチームが始動してみなければ分からない。「アイザイア・ジャクソンは過小評価されているが、先発を託せると思う。ジェイ・ハフも5アウトに適したセンターだと期待している。ジェームズ・ワイズマンは判断材料が十分ではないから、プレーを見て評価したい」

周囲は新シーズンのペイサーズに悲観的な見方をしていても、カーライルにその感覚は全くない。「直近の2シーズンがそうだったように、ウチは前半戦は低調でもチームがまとまることで後半戦に持ち直すことができる。今回もそうなると楽しみにしている」という彼は、ハリバートン不在でもチームの成長速度を落とすつもりはない。