金近廉

シュートフォームの微調整に取り組む

男子バスケットボール日本代表は、『FIBAアジアカップ2025』のグループリーグを2位で通過。現地12日の夜に行われるベスト8進出決定戦でレバノンと対戦する。

日本はシリアとグアムにオフェンス爆発で快勝したが、イランには残り4分からの無得点と終盤のガス欠によって70-78と競り負けた。イラン戦はジョシュ・ホーキンソンと馬場雄大が揃って37分以上出場。プレータイムが大きく偏ったことも、ここ一番での失速の大きな要因となった。

このイラン戦の教訓を生かし、強度の高いプレーを40分間継続していくためには、できるだけプレータイムをシェアすることが理想。馬場の負担軽減という点において、期待したいのは控えウイングの金近廉のステップアップだ。

金近は初戦のシリア戦で、終盤のガベージタイムでの連続得点を含む8得点を挙げたが、その後のイラン戦、グアム戦では計29分出場で3得点にとどまった。ただ、グアム戦では7本中1本成功と不発だったものの、積極的に3ポイントシュートを放ったのは好材料だ。

金近は、これまでの自身のプレーをこのように振り返る。「シュートは続けて決めていくことで次に繋がっていきます。グアム戦で1本目から入りましたが、その後が続きませんでした。ディフェンスはイラン戦の時、相手の6番の選手(モハマド・アミニ)のドライブをチームとしても僕個人としても止めきれなかったことが負けに繋がりました。まずは自分のマッチアップの選手に11で負けないことが大事です。グアム戦に関しては相手のエースである(アーネスト)ロス選手をある程度は止めることができたのは良かったと思います」

自身の大きな役割である3ポイントシュートに関して金近は、シュートフォームの微調整に取り組んでいると明かす。「国内の強化試合が終わって本大会のメンバー入りが決まった段階で、トム(ホーバス)さんから『もう少しリリースを早くしないといけない』とアドバイスをもらいました。これまでシュートを打つ時、ボールを構えた位置から下げる動作によって時間がかかり、相手にシュートチェックされるところもありました。この修正がうまくはまった時は良いシュートを打てていますが、リリースを早くしようとあせって打っているシュートもあります。今のフォームにもっと自信を持って打ち続けていきたいです」

金近廉

3ポイントシュートだけにとらわれないことを意識して」

金近は「チームで作ったシュートチャンスで打たない選択肢はない」と語る一方、3ポイントシュートにこだわりすぎず、ゴール下へのアタックも増やしていきたいと続ける。

「グアム戦は、アテンプトが3ポイントに偏ってバランスがよくなった。国内の強化試合のように、カッティングやドライブを積極的に狙っていかないといけません。個人としてもしっかりと中にアタックして、相手を崩すプレーもしてきたい。カッティングで自分のリズムを作っていけば、シュートもよくなってきます。3ポイントシュートだけにとらわれないことを意識してやっていきたいです」

これまでの戦いを見る限り、レバノンもイランのようにゴール下へのアタックを主体にした攻めを展開してくる。だからこそ、馬場とホーキンソンの負担を減らすためにも、自分を含めたウイング陣のベンチメンバーの奮起が必要だと金近は語る。

「イラン戦はウイング陣が縦に抜かれすぎていて、ジョシュがゴール下で対応する機会が多かったです。ジョシュの負担を減らせるようにウイング陣がもっと頑張る必要があると思います。そして、馬場さんが相手エースを好きにやらせないように守っているので、僕も見習って強度を上げていきたいです」

今回のアジアカップは、金近にとって初めてのFIBA主催の国際大会。金近は22歳とまだ若い選手だが、イランで主力を務める20歳のアミニなど他国の有望株たちの活躍に刺激を受け、自分も負けられないと熱い思いを抱く。

「自分より若い選手が活躍している。もっとできるようにしたい。とにかく自分が出ている時はマッチアップしている相手に負けない。日本代表として出ている以上、責任があるのでより戦っていかないといけないです」

ここまで3ポイントシュートの確率で苦しんでいる金近だが、しっかり打ち切れているためレバノン戦で当たりが来てもおかしくない。そして自身も意識しているゴール下へのアタックでも期待だ。

東海大時代、金近が相手の留学生センターの上からダンクを叩き込み、会場を沸かせたのは今でも鮮烈な印象に残っている。あの豪快なプレーを今こそ披露し、日本の起爆剤になってもらいたい。