「ここでレベルの高いバスケができて良かった」
現地7月20日に行われたNBAサマーリーグのファイナルでは、ホーネッツがキングスを撃破した。ここまで5戦全勝同士の対戦となったファイナルで、ホーネッツは第1クォーターを34-18として優位に立つ。その後に立て直したキングスの猛追を浴び、残り1分で1点差に詰め寄られたが、コン・クヌッペルの3ポイントシュートとフリースローで相手の流れを断ち切り、83-78で勝利。NBAドラフト1巡目4位指名のルーキーであるクヌッペルは、21得点を記録してファイナルMVPを受賞した。
ホーネッツは過去11年でプレーオフに進出したのが2015-16シーズンの1度だけ、2020-21シーズンにプレーイン・トーナメントに進むも敗退し、直近の3シーズンは27勝、21勝、19勝と大きく負け越している。
だからこそ、クヌッペルは勝利にこだわったのだろう。「僕たちは常に勝利にこだわり、勝つためにコートに立つ。サマーリーグでプレーした選手が何人もロスター入りするだろうし、サマーリーグであっても勝つ習慣を作ることには大きな意味がある」と彼は言う。
クヌッペルは前の試合での接触プレーでまぶたを切っていた。すでに実力は証明済みで、無理をする必要はないため、チームスタッフは彼を欠場させようとしたのだが、彼はそれに抗った。「無用なリスクは避けろという話だったけど、数針縫う程度のケガに大きなリスクはないよね。優勝を懸けた試合を欠場するほどのものじゃない」
ラスベガスに集合したのは2週間前。それからトレーニングと大会の目まぐるしい日々を、「素晴らしい2週間だった。バスケをするのはいつだって楽しいし、試合はファイナル4以来だったから、ここでレベルの高いバスケができて良かった」と彼は振り返る。
「シーズン開幕が今から待ち遠しいよ」
サマーリーグに集まった選手たちの中でクヌッペルの身体能力が特段秀でていたわけではない。しかし、注目を集める舞台に立っても彼は全く気負うことなく落ち着いてコートの状況を把握し、相手の動きを見てその逆を突き、スペースに味方が走ればパスを出し、そして自分が空いていれば躊躇なくシュートを放った。身体能力に優れた選手が多いサマーリーグで、彼のバスケIQと落ち着きは異色だった。
彼は自分の出来に満足していないが、それを前向きにとらえる彼の考え方は面白い。「初戦は特に難しくてひどい出来だったけど、NBAでは多くの試合をこなす必要があり、前の試合のことは忘れて次に進むのが大事だ。今日だってさほど良いプレーができたわけじゃない。シュート確率は良くなかったし、ディフェンスのミスやターンオーバーもあった。でも『次のプレー、次のプレー』と切り替えていくだけなんだ」
サマーリーグを優勝で終え、今度はシーズン開幕を見据えた準備が始まるが、クヌッペルはその過程を楽しみにしている。「このチームの一員になれてうれしい。まだ加入したばかりだけど、8月にはミニキャンプをする予定だし、正式なトレーニングキャンプを楽しみにしている。本当のNBA選手と一緒にプレーするのはきっと楽しいだろう。シーズン開幕が今から待ち遠しいよ」