キャム・ジョンソン

バスケIQに自信「ずっと頭を使ってプレーしてきた」

ニコラ・ヨキッチを擁する以上、2度目の優勝を目指すのは当然だ。そう考えるヘッドコーチに対し、GMは契約満了でチームを去るベテランの代わりに若手をチームに加えた。若手を育てながら勝つことができれば理想だが、そうでない場合には不協和音が生まれる。そうして揺れたナゲッツは、ヘッドコーチもGMも入れ替えて立て直しを図った

新たなフロントは、パフォーマンスと金額が見合っていなかったマイケル・ポーターJr.とダリオ・シャリッチを放出し、キャム・ジョンソン、ヨナス・バランチュナス、ブルース・ブラウン、ティム・ハーダウェイJr.を獲得して選手層を強化した。ヘッドコーチとGMのどちらに非があったのかは分からないが、アシスタントコーチからヘッドコーチに昇格したデビッド・アデルマンは、まさにマローンが望んでいたロスターを得たことになる。

補強の目玉となるのはキャム・ジョンソンだ。2019年のNBAドラフトで1巡目11位指名を受けた彼はサンズでデビューし、ドアマットから優勝候補へと変化するチームの中で急成長したが、4年目のシーズン途中にネッツへとトレードされ、再び再建チームに身を置くことになった。

それだけに今回、優勝争いのできるチームに移籍できたことに彼は喜びいっぱいだ。「ナゲッツと対戦するたびに、様々な角度から攻めてくるオフェンスに苦戦していた。その一員になれてうれしい。ヨキッチの存在はもちろんだけど、全員がお互いのために連携し、最高のシュートを生み出す。そこに加わるのは大きな刺激になるよ」

ナゲッツのバスケは優勝した2年前に完成しているが、ジョンソンはそこに「チームファーストのメンタリティを持ち込みたい」と語る。新たなフロントが彼を評価したのはその姿勢であり、『考えて走る』バスケIQだ。

「ずっと頭を使ってプレーしてきた。僕は大学に5年間いたけど、それでもNBAに来た時には知らないことばかりで、コーチングスタッフの指示に従い、リッキー・ルビオからアドバイスをもらった。デビン・ブッカーは年齢が同じだけどNBAでの経験が長く、ケリー・ウーブレイJr.のようなベテランもいて、彼らをずっと観察し、練習での姿勢やプレーへの考え方、些細なことでもすべて学ぼうとした。僕は子供の頃から寝室で小さなノートにセットプレーを書き出していた。バスケの知的な面が好きだったし、それを知ることを誇りに思ってきた」

その彼はヨキッチとチームメートになるにあたり、「ペリメーターのリロケーションが楽しみだ」と笑顔を見せる。「彼の最高の能力は自分とチームメートがどのスペースにいるかを把握していることだ。スペースを見付けて飛び込めば、最高のタイミングでドンピシャのパスを出してくれる。実際は自分だけのタイミングではなく、コート上の全員が連動することを踏まえて判断を下すことになるけど、そんなプレーが僕は大好きだし、ナゲッツの強みはそこにあると思っている。僕個人で言えば昨シーズンはキャッチ&シュートの機会が少なかったけど、シュート成功率は結構上がるんじゃないかな」

移籍が決まって以来、ナゲッツファンの熱狂ぶりを感じていると彼は言う。「ナゲッツファンがいるとは予想できないところで声を掛けられる。移籍が決まってから、どこでもそうなるんだ。僕はオフをアリゾナで過ごすんだけど、朝食のいつもの店で年配のグループが立ち上がって、『我々は長年のナゲッツファンなんだ』と言い、ある女性は涙ぐんでいた。毎回驚かされるけど、これもナゲッツが素晴らしいプレーをしていて、勝てるチームからだろう。こういう出来事のたびに僕は刺激を受け、このチームの一員になったことを誇らしく思うんだ」