父の『22』を再び背負う「僕はここで生まれ育った」
ラリー・ナンスJr.はキャリアの最初をレイカーズで過ごし、3年目のシーズン途中にキャバリアーズにトレードされた。当時25歳、再建中のレイカーズからレブロン・ジェームズを擁する優勝候補のチームへの移籍だったが、彼が加入した数カ月後にレブロンが去り、チームは再建へと舵を切った。レイカーズでは若手の一人でしかなかった彼は主力となり、リーダーの一人となった。
彼にとってキャブズは特別なチームだ。ナンスSr.はキャブズのレジェンドで、引退後もクリーブランドで暮らしたためにナンスJr.もここで生まれ育った。22番はナンスSr.の永久欠番で、息子のナンスJr.だけが着ける資格を持つ。
加入から4年目、ラウリ・マルカネンを中心とする3チーム間トレードでキャブズを離れた後は、トレイルブレイザーズ、ペリカンズ、ホークスを渡り歩いた。それでもナンスJr.のキャブズへの愛着は変わらず、今オフにフリーエージェントとなると『相思相愛』の形で復帰が実現した。
大腿骨の骨折という重傷を負った昨シーズンに24試合にしか出場できなかったこともあり、契約は1年360万ドル(約5億円)と格安になったが、再建を果たして優勝争いのできるチームに成長したキャブズへの復帰に彼は興奮している。「ありきたりの言葉だけど、やっぱりここは『実家』だと感じるよ。みんな知っている人たちで、僕を笑顔で迎えてくれた」
そう語るナンスJr.も笑顔だ。「僕はここで生まれ育ったからね。ここ何年かは別のチームにいたけど、ずっとキャブズを応援していた。プレーオフを自宅で観戦しながら、『僕がいたらチームを助けられるのに』と妻にボヤくのは楽しくなかった。このチームには優勝できるチャンスがある。それを成し遂げるために僕は戻って来た」
かつてのチームメートと再会「みんな立派に成長した」
4年ぶりのキャブズ復帰で、彼は32歳のベテランになった。「この4年間はシューティングの練習に費やしてきた。以前よりずっと自信を持って打てるようになっている。そして今のキャブズには、フロアを広げてペリメーターでも動けるビッグマンが必要で、僕はまさにそこでチームに貢献できる。球団社長のコービー(アルトマン)やコーチと話したけど、その内容は僕が考えていたことの再確認のようなものだった」
ベテランとしてチームを引っ張るつもりはあるが、「64勝を挙げたチームを心配する必要はないと思う。僕が心配すべきは自分自身だ」と謙虚に話す。「みんな立派に成長した。選手として上達するのはもちろん、人間的な成長も見ていて楽しかった。『若造ども、俺が教えてやる』なんて言うつもりはない。彼らの方がたくさん勝っているんだから、僕が追い付かなきゃ(笑)。僕の目標は彼らをできる限りサポートすることで、チームが勝つこと。僕がプレーしなくても、勝てばそれでいいんだ」
2018年にレイカーズから加入した時には、母親から実家の空き部屋に住むように言われて困惑した、という笑い話があったが、今の彼にとって『家族』と言えば両親ではなく妻や娘を指す。「妻も娘も僕が離れて暮らすことに慣れていたから大きな変化だよ。娘の学校の送り迎えが毎日できるのは幸せなことだ」
「今日も娘を送ってからここに来たんだけど、途中で寄ったガソリンスタンドでファンから『戻って来てくれてありがとう』と言われた。僕のチームへの愛情がこういう形で返されるのは素晴らしいよ。また彼らのためにプレーできるのが楽しみだ」
ナンスJr.にとって、キャブズ復帰は理想的な再スタートとなるに違いない。
He's home! Time for a little catch up with our old friend, @Larrydn22! 🎙️ #LetEmKnow pic.twitter.com/2uC4TEzO0A
— Cleveland Cavaliers (@cavs) July 8, 2025