湧川颯斗

指揮官トム・ホーバスも期待大「湧川が面白いです」

6月27日、バスケットボール男子日本代表は8月に開催される『FIBAアジアカップ2025』に向けた第1次強化合宿のメディア公開練習を実施した。今回参加している18名は、最年長がジョシュ・ホーキンソンの30歳で、22歳以下が半数を占める若い構成となっている。

今回の合宿には、これまで代表の常連だった比江島慎、富樫勇樹、渡邊雄太のベテラン勢が不在。トム・ホーバスヘッドコーチは、「パリオリンピックが終わって世代交代はあります。マコは代表引退するかどうか、今は渡邉がいない。富樫はアジアカップで使うかどうかを今いろいろと話しています。でも若いメンバーがすごく頑張ったらアジアカップは出なくていいかなとも思います」と新戦力の台頭に期待を寄せている。

三遠ネオフェニックスに所属する21歳の大型ガード、湧川颯斗もホーバスがステップアップを期待する一人だ。今回のメンバーについて指揮官は「マコみたいにドライブができて、3ポイントシュートを打てる選手が必要です」と語った際、比江島の担っていたコンボガードの役割をこなせる選手として「湧川が面白いです」と言及した。

「身長が194cmあり、ポイントガードのメンタリティでパスは上手でシュートも綺麗です。他にもポイントガードがいるので、この合宿ではもっとアグレッシブにシュート打ってほしい。コンボガードとしてもっと彼の3ポイントシュートを見たいです」

湧川本人は、自身の役割を次のように考えている。「代表で求められているのはコンボカードです。1番なら必要な時にコントロールする。2番ではペイントアタック、3ポイントを打ったりして、ボールの循環を良くしていく。その時、コートに出ているメンバーによって役割は変わってくると思います」

湧川颯斗

「ステップで比江島さんを参考にしている部分も」

湧川は、6月中旬に行われたディベロップメントキャンプからフル代表の合宿参加を勝ち取った。昨年はディベロップメント止まりだったところからの前進に「ようやく第一歩を踏めたという感じです。正直、選ばれたことに驚きはありました」と率直な気持ちを明かすと、「アジアカップ代表の座を絶対につかみ取りたいです。ディベロップメントから生き残って気持ちは変わりました」とさらなる欲が出ている。

「最初はちょっと自分の持ち味を出せていなかったのが、徐々に出せてきていると思います。特に今日は、ドライブでペイントアタックした時の判断を良くするところを求められている中、打つべきところで打って決められたと思います」

サバイバルレースを勝ち残るためには、指揮官が求めるプレーをこなすだけでなく、尖ったオンリーワンの個性を示すことも必要だ。湧川は「他のガードの選手と比べて身長が高いので、ドライブした後で他の選手より広い視野で先が見えることが強みだと思います。スピードはありませんが、緩急を生かし一瞬のズレを見つけてドライブできるのが自分の強みです」と、ドライブへのこだわりを語る。

そして、「ペイントに入った中でのステップで、比江島さんを参考にしている部分もあります。自分のリズムで行きつつ、比江島さんのステップだったりも取り入れながらという感じです」と偉大な先輩の動きをお手本にしている。

今回、湧川のモチベーションをさらに高める存在となっているのが、一緒に合宿参加している福岡大学附属大濠の後輩、川島悠翔と渡邉伶音だ。早くから未来の日本代表を支える逸材として注目されてきた川島、渡邉について「刺激になります」と、対抗意識を燃やしている。

「これまで代表の選考で自分が落ちている一方、悠翔や伶音が受かったこともありました。今回は一緒にやれているので『並べた』という感じです。2人とも中学校の頃から知っていて、高校で一緒にやっているので負けたくはないです」

194cmのサイズと非凡なハンドリング能力、シュート力と湧川の潜在能力は申し分ない。これからの続く強化試合で、彼が持ち味のドライブで攻撃の起点となってもそれは決してサプライズではない。

男子日本代表 日本生命カップ2025 直前合宿メンバー

ジョシュ・ホーキンソン(C・PF/208cm/29歳/サンロッカーズ渋谷)
馬場雄大(SF/196cm/29歳/長崎ヴェルカ)
中村太地(PG/190cm/27歳/ライジングゼファー福岡、島根スサノオマジック)
吉井裕鷹(SF/196cm/27歳/三遠ネオフェニックス)
川真田紘也(C/204cm/27歳/長崎ヴェルカ)
テーブス海(PG/188cm/26歳/アルバルク東京)
西田優大(SG/190cm/26歳/シーホース三河)
佐土原遼(SF/192cm/25歳/ファイティングイーグルス名古屋)
狩野富成(C/206cm/23歳/信州ブレイブウォリアーズ、サンロッカーズ渋谷)
ジャン・ローレンス・ハーパージュニア(PG/181cm/22歳/サンロッカーズ渋谷)
金近廉(SF/196cm/22歳/千葉ジェッツ)
山ノ内勇登(C/211cm/22歳/オーラル・ロバーツ大)
山﨑一渉(SF/200cm/21歳/ノーザン・コロラド大)
ジェイコブス晶(SF/203cm/21歳/フォーダム大)
湧川颯斗(PG/194cm/21歳/三遠ネオフェニックス)
テーブス流河(PG/184cm/21歳/ボストン・カレッジ)
川島悠翔(PF/200cm/20歳/シアトル大)
渡邉伶音(PF/206cm/19歳/東海大)