文=丸山素行 写真=野口岳彦、B.LEAGUE

まさかの敗戦も冷静に受け止め「良いレッスンになった」

先週末に行われたBリーグ第28節、栃木ブレックスはレバンガ北海道をブレックスアリーナに迎えた。初戦こそ危なげなく勝利したものの、第2戦では北海道の堅守を崩すことができず、接戦を落とした。

故障者が続出し、厳しい戦いを強いられた前半戦を乗り越えた北海道は、以前とはまるで別のチームになっている。それでも東地区優勝を目指す栃木にとって、ここでの取りこぼしは許されない状況だった。

試合後、会見場に姿を見せた田臥勇太は「点数が取れていないのが明らかで、北海道がディフェンシブに、昨日よりも激しく、出だしから最後まで集中力高くやってきました」と落ち着いた表情で試合を振り返った。

「相手は自分たちの得意とするブレイクを抑えようという意識が高く、それをどう打開するかが問題でした。ハーフコートオフェンスだからといって止まる必要はないので、オフェンスで流れを全員で作らないと、良いシュートには結びつかない。それをすごく感じた試合でした」

「毎試合毎試合、いろんな形の試合があって、その中で一人ひとりが『何ができるのか、何をしなければいけないのか』というのをしっかり考えてやらなきゃいけないと思います」

ただ、敗戦に対して必要以上に悔しがったり怒りの感情を見せることはない。「決してネガティブにとらえる必要はなくて、この試合が良いレッスンになったと思っています」と、田臥は敗戦を素直に受け入れ、また新しい糧とした。

チームへの自信「全体として一つになり、成長している」

レギュラーシーズンは残り7試合、チャンピオンシップに向けた準備を進める段階にある。そんな矢先の敗戦となったが、田臥は不動の落ち着きを保っていた。「7試合しかないとプレッシャーを感じる必要はないですが、良い意味で危機感を持ってやらないといけないです。チャンピオンシップに良い状態で入っていけるように、7試合を無駄にせずにやっていかなきゃいけない」

栃木は激戦の東地区に籍を置きながら、他地区では独走状態にある川崎ブレイブサンダースとシーホース三河を相手に最高勝率を争っている。厳しい戦いの中で揉まれ、強くなっていくチームに、田臥は確かな手応えを感じている。「もちろん結果として負ける時もありますけど、試合を重ねるにつれ、向かうべき方向に向かっています。全体として一つになり、成長しているのは感じていますね」

田臥がそう言うとおり、勝っても負けてもチームが重ねてきたステップアップは、目先の勝ち負けよりずっと大事なものだろう。ただ、「だからこそ東地区の首位を守り続けていられるのか」と田臥に問うと「それは自分たちが決めることではない」という言葉が返ってきた。

「毎試合、毎日優勝に向かってやっているので、現時点でここまで来ていればいいとか、ここでOKだというセットをしたら、それが限界になってしまうと僕は思っています。そこは決めずに悪い時もあれば良い時もあるのですが、常にセットをしないで成長し続けられるチームでいたいと思っています」

レギュラーシーズンは大詰めを迎える。チームを取り巻く環境が1節ごとに変化していく中、田臥の成長意欲だけは変わらない。

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