脇真大

「次に繋がるバスケはできました」

琉球ゴールデンキングスは、三遠ネオフェニックスとのセミファイナルゲーム1に85-87で敗戦。4年連続ファイナル進出へ向け、後がなくなった。

試合序盤、琉球は三遠の前から激しくプレッシャーをかけてくるディフェンスにうまく対応できない。エースガードである岸本隆一不在の影響も響いて何度もボール運びでミスを犯し、シュートでしっかりとオフェンスを終えることに苦戦。その結果、最大の武器であるオフェンスリバウンドが第1クォーターでは0本に終わってしまった。

劣勢でのスタートとなった琉球は、それでも球際の強さで踏ん張り互角の展開で前半を終えるが、後半の出だしで三遠にビッグショットを続けて決められ劣勢に立たされる。その後、第4クォーターに入ってようやく持ち味のリバウンドで優位に立って反撃するが、あと一歩届かなかった。

第4クォーター、琉球は2点を追う残り13秒からラストオフェンスを行う。自陣から脇真大がボール運び、ヴィック・ローがボールをもらったが、オフバランスで3ポイントシュートを打つ格好となってミス。リバウンドも取り切れずに万事休すとなった。

琉球の桶谷大ヘッドコーチは、最後のプレーをこう振り返る。「ズレを作ってシュートを打てたらと思っていました。あの場面で任せるのはヴィックしかない。2点でもいいと言っていましたが、3ポイントを狙ったのはゲームの駆け引きもありますし、彼の判断で仕方ないと思います」

そして指揮官は、このように課題と収穫を語る。「最初にボール運びがしんどく、三遠さんに流れを掴まれてしまいました。こちらに流れが中々、こない状態で第4クォーター相手も疲れていたと思いますが、プレッシャーディフェンスからゲームをやっと作れました。綺麗ではないですけど、ああいうのが自分たちのバスケだと思います。しっかりとボールを運んで、そこからボールムーブメントしていけばリバウンドも取れる。次に繋がるバスケはできました」

脇真大

「活躍してチームが勝たないと一番意味がない」

琉球のルーキー、脇はこの試合で32分21秒出場の15得点6アシストと見事なプレーだった。だが、「もうちょっとアグレッシブにリバウンドをできたと思うので、明日はそこを修正して勝利を掴み取りたいです」と試合を振り返ると、自身のパフォーマンスについても「僕がコントロールをする時、チームの強みを生かせなかったです」と厳しい評価だ。

「僕が活躍してチームが勝たないと一番意味がないと思っています。3ポイントシュートをもっと打てる場面はあり、そこでアグレッシブに打ちに行ってしっかりと明日は決めたい。今、隆一さんが怪我をしてポイントガードをやらしてもらっていますが、第3クォーターにゲームを作れないところがあったのでそこを改善していきたいです。明日も、こういう時間帯を作ったら絶対にやられてしまいます」

岸本離脱を受け、本職はウイングの脇はチャンピオンシップではクォーターファイナルの島根スサノオマジック戦から先発で司令塔を務めている。元々、ボールハンドリングには定評があったとはいえ、ルーキーが初の大舞台で慣れない役割を担うのは大変なことだ。

「最初の方はプレッシャーを感じていました」と率直な気持ちを明かすが、今は重圧を乗り越えている。

「でも今は、チームが勝つためにやるだけです。この状況を楽しまないとうまくいかない。プレッシャーも楽しみながら、チームが勝つためにはどうやってプレーすればいいのかを意識しています。単純に大好きなバスケットを楽しんでやれています」

今日のゲーム2、琉球にとっては文字通り勝たないと全てが終わる崖っぷちだ。脇はゲーム1の課題を改善するとともに、「一つのルーズボールにダイブできるか、できないか。ボールは1つしかないので、それをどっちがモノにするかが勝敗に関わってきます」と、琉球らしい泥臭いバスケットボールをどれだけ遂行できるかを大切にする。

琉球にとってゲーム1は、岸本不在の影響を最も感じる試合となったが、同時に脇の大きな可能性も強く感じることができた。大黒柱不在のピンチは、見方を変えれば新星がステップアップを遂げる絶好の機会でもある。脇の更なる覚醒が、琉球の巻き返しには欠かせない。