シェイ・ギルジャス・アレクサンダー&ニコラ・ヨキッチ

対策とアジャストが進む中で調子を上げる両エース

シーズンでリーグ最高のフィールドゴール成功率50.6%を記録していたナゲッツが41.3%しか決められず、リーグ6位の3ポイントシュート成功率37.6%を記録していたサンダーも32.6%と低調なシューティングに終始する。西カンファレンスのセミファイナルは『死闘』と呼ぶに相応しい消耗戦となり、『GAME7』へともつれ込みました。

第4戦のサンダーはスターターが3ポイントシュート23本中2本しか決まらなかったものの、ベンチメンバーが18本中8本を沈め、92-87とロースコアの展開を制します。この試合で19分しかプレーしなかったルーゲンツ・ドートが第5戦では4本の3ポイントシュートを決めて、サンダーがシリーズ突破に王手をかけました。

選手層の厚みを生かしたサンダーが押し切るかと思われた第6戦では、ナゲッツのジュリアン・ストローサーが3ポイントシュート3本を含む15得点と爆発し、ナゲッツが3勝3敗のタイに戻しました。疲労が溜まる中でフレッシュな選手の活躍が目立っており、よりベンチメンバーを活用したチームが優位に立ちそうですが、重要な局面で思い切った選手起用をするのは簡単ではありません。

何よりコートに出てくる主力選手たちは、疲労の色を見せながらもハイレベルな駆け引きを繰り広げており、チームバランスを崩すことは諸刃の剣です。ルーズなマークでたびたびインサイドを空けてしまうナゲッツのディフェンスですが、サンダーのプレーを読んでいるかのようにパスが出た瞬間に全体が収縮して潰してもいます。サンダーのディフェンスはニコラ・ヨキッチに左ドライブをうながしてパスコースを制限し、ナゲッツの展開力を封じ込めています。

これだけ両チームの対策とアジャストが進み、ここに疲労も重なってくると1on1への対処が間に合わなくなるもので、最終的にエースの個人技が目立つようになります。実際にシェイ・ギルジャス・アレクサンダーは第5戦と第6戦で続けて30得点を超え、ヨキッチはフィールドゴール成功率60%を超えてきました。MVP争いを繰り広げる両エースが運命の『GAME7』を締めくくることになりそうです。

フレッシュなベンチメンバーがチームを救うのか、高い集中力で臨むスターターの駆け引きの勝負になるのか、エースが個人技でシリーズを締めくくるのか。疲労困憊に見えながらもハイレベルなプレーが繰り返され、永遠に続きそうなシリーズですが、泣いても笑っても『GAME7』を残すのみです。