逆転に望みを繋げるパフォーマンス
あと一歩のところまでアルバルク東京を追い詰めた千葉ジェッツだったが、またしても頂点からの景色を見ることはできなかった。
落とし穴が待っていたのは第3クォーターだ。ディフェンスが機能せず5本の3ポイントシュートを浴び、悪い流れはオフェンスにも伝染した。千葉のシュートはことごとくリングに弾かれ、点差が広がっていく。この劣勢でチームを何とか踏み止まらせたのが原修太だった。レギュラーシーズンでの原はあくまで『使われるタイプ』の選手だったが、ここで自分がボールハンドラーとなり、ピック&ロールから連続でフィニッシュまで持っていった。
12-29とビッグクォーターを作られた中で6得点を挙げた原が、逆転に望みを繋いだ。ただ、敗れたのでは意味がない。彼にとっては小さくない収穫だが、優勝を逃した悔しさが上回った。
「これがシーズン中で次に試合があるんだったら、『こういうことができた』ってポジティブに考えることができるんですけど……。正直、今シーズン最後の試合だったので、結果だけを見て悔しい気持ちのほうが強いです」
富樫勇樹は「原以外の攻め手がなかった」と、第3クォーターを振り返ったが、それほど原のプレーは光っていた。だが、原にとっては「最後にミスしたところは今でも頭に残っているので、そっちのほうがデカいです」と、追い上げムードを断ち切った最後のパスミスを悔やんだ。
痛恨のパスミス「今は何も考えられない」
原の脳裏に焼き付いて離れない場面は、残り27秒に富樫の3ポイントシュートが決まり2点差と肉薄した直後に訪れた。前線からプレッシャーをかけ、ミルコ・ビエリツァのターンオーバーを誘うも、そのこぼれ球を拾った原が富樫へと送ったパスはオーバーした。
「何を考えていたかって言われたら、富樫に繋ごうとしてミスが起こってしまった。『こうだったから、こうした』というのは言えず、ただのミスです」と、原はその瞬間を振り返る。
ポゼッションを渡してしまい、時間がない千葉はファウルゲームを仕掛けるが、A東京はここでミスを犯さず、アレックス・カークがフリースローを2本を決めた。「大事な場面でこういうミスが出てしまったのは、自分がまだまだ足りない証拠」と、原は自分を責め続けた。
チーム内競争の激しい千葉において、プレータイム確保に苦しんだ原だが、ファイナル終盤の勝負どころを託されたことは大きな意味がある。それでも、自らが犯したミスの大きさを受け止めきれず、試合の映像を見る気にはなれないと言う。「最後の試合だというのが大きいです。シーズン中であれば次の試合が来ますし、反省するところは反省して、自分の良かったところも評価するためにビデオは見るんですけど。今は何も考えられないですね……」
決勝の大舞台で天国と地獄を味わった原は、「何カ月かしたら、決勝を見返します」と、自分と向き合うことを誓った。この経験を生かすも殺すも自分次第。来シーズンは、もう一回り成長した原の姿に期待したい。
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— 千葉ジェッツふなばし (@CHIBAJETS) 2019年5月11日
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