「『40分間戦う姿を見せること』はできました」
千葉ジェッツは、昨日のBリーグファイナルでアルバルク東京に67-71とあと一歩届かず、2年連続でリーグ制覇を逃した。しかし、第3クォーターに12-29と圧倒され、最大19点のリードを許しながら第4クォーター終盤には2点差にまで肉薄する追い上げで、大きな見せ場を作った。
この反撃を主導したのはエースの富樫勇樹だ。第4クォーター開始から千葉は14連続得点を挙げたが、富樫は3ポイントシュート2本成功、3アシストの12点とこのビッグランのほぼすべてに絡んでいた。試合全体でも19得点6アシスト2スティールとさすがの存在感だった。
「個人としてはやりきったという思いが大きいです。もちろんファイナルに勝って優勝したかった。それは当たり前ですけど、1年間を通して思い出すと、本当によくこんなに勝ったな、という思いしかないです」
このように富樫は今シーズンを振り返っての思いを語る。ファイナルについては「正直、この試合に関しては第4クォーターのカムバックより魔の第3クォーターの記憶しか残らないです。相手はすべてうまくいくのに対し、こちらは原(修太)以外の攻め手がなかったです。ただ、1年を通して言われ続け、言い続けてきた、『40分間戦う姿を見せること』はできました」と振り返る。
「4クォーターで仲間の試合を見るのは一番、幸せな時間」
今シーズンの千葉は、レギュラーシーズンで52勝8敗と最高勝率の新記録を樹立した。だからこそ、「チャンピオンシップはリーグ戦があってのもの、これだけの試合をしてきて、最高勝率を出してファイナルで負けてはダメだという思いは自分の中にありました」と、強い思いを持って臨んだ。
しかし、頂点には届かなかった。悔しさはあるが、その中でも「負けは負け。どういう状況であれ、勝ったチームがすごい。この一戦にしっかり力を出せるアルバルクの選手はすごいなと思います」と勝者を称える。そして、「自分たちのやってきたことに全く後悔はない。レギュラーシーズン、チャンピオンシップも含め素晴らしい経験ができました」と言い切る。
今シーズン、富樫は日本代表の主力として代表活動も兼ねる過密スケジュールをこなしながら全試合出場を果たし、エースとしてチームを牽引した。ただ、本人はそこまで引っ張ったという思いはない。その理由をこう語る。
「もちろんその思いもありますけどチームが強すぎて、第4クォーターに出ていない試合が26あると聞きました。約半分です。接戦で出ないことはほとんどないので、この26試合は接戦にならずに勝っている。この数字はチームの強さです」
勝利を確実なものとしてベンチから眺める第4クォーターほどの至福はないと強調する。「第3クォーターで試合を終わらせようという気持ちはすごくありました。第4クォーターに一番良いコートサイドでプロの試合を見たい。本当に最高ですよ、あの気持ちは(笑)。点差を離して4クォーターで仲間の試合を見るのは一番、幸せな時間です」
2018-19シーズンの千葉は、レギュラーシーズン、天皇杯、チャンピオンシップを計60勝9敗、勝率87%で終えた。リーグチャンピオンになれなかったが、今シーズンの千葉は本当に強かった、という事実が色褪せることは全くない。