ステフィン・カリー

クミンガにポジェムスキー、22歳の若い力に期待

ウォリアーズはロケッツとのファーストラウンドを『GAME7』の末に制し、ティンバーウルブズとの初戦にも勝利した。しかし、この試合でエースのステフィン・カリーが左足のハムストリングの肉離れで戦線離脱となり、続く2試合で連敗を喫した。

現時点でカリーは第6戦での復帰を目指して調整を続けている。カリーにとって左足のハムストリングを痛めるのは初めてのことで、復帰には慎重にならざるを得ない。カリーを欠けばウォリアーズの得点力は大幅に落ちるが、無理してケガを再発させるようなことがあれば、今度こそ彼のシーズンは終了となってしまう。

ウォリアーズは長らく『カリーありき』のバスケを構築しており、彼の不在はほぼ想定されていない。それでも24点差の完敗を喫した第2戦から、調整に時間を使えた第3戦でのパフォーマンスは大きく改善された。カリーに代わりオフェンスを引っ張るべきジミー・バトラーが33得点を挙げ、ジョナサン・クミンガがベンチから30得点と大活躍。しかし、勝てる試合だったし、勝たなければいけない試合だったにもかかわらず、ドレイモンド・グリーンの退場で終盤に失速してしまい、頼みのバトラーもラスト8分間で無得点と結果を出せなかった。

1勝2敗とウルブズにリードされているが、ウォリアーズとしてはシリーズを長引かせてカリーの復帰を待ち、逆転で勝たなければいけない。第6戦に持ち込むには、カリー抜きであと1勝が必要だ。

そういう意味で第3戦でのクミンガの活躍は、暗いムードを変えるものとなった。バトラーはクミンガの活躍をこう称賛する。「僕らは2人で一緒に機能する。僕が相手ディフェンスの注意を引き付け、そのスペースを彼が使う。僕がボールを持った時に彼がどう動いて何をすべきか、お互いに意見を言い、それに耳を傾けている。次の試合には絶対に勝つつもりだし、そこでは彼が大いに活躍するはずだ」

クミンガは年明け早々のケガから調子を崩し、ローテーション外に置かれていたが、チームのピンチに素晴らしい結果を出した。ただ、それでも勝てなかった以上、クミンガがこの調子をキープし、他の選手も彼に続く必要がある。

カリー不在でのグリーン、マインドゲームは墓穴に?

ブランディン・ポジェムスキーはプレーオフに入って絶不調で、3ポイントシュート成功率が31.6%に落ち込み、自信を失っている。一時期はエース級の働きを見せていたモーゼス・ムーディーもプレーオフでは苦戦中で、特にウルブズとのシリーズではプレータイムが激減している。2年目のグイ・サントスもプレーオフでは存在感を発揮できてはいない。

クミンガ、ムーディー、ポジェムスキー、サントスは揃って22歳。カリー不在の窮状を打破するために、彼ら若い力が日替わりでステップアップすることに期待したい。

もう一人のキーマンとなるのはドレイモンド・グリーンだ。激しいコンタクトの応酬となったロケッツとのシリーズでは、7試合を通じて小競り合いと衝突、乱闘のオンパレードだった。その中でグリーンは荒っぽいプレーを仕掛けて若いロケッツを混乱に陥れ、品性の問題は別としてウォリアーズの勝利に貢献してきた。

だが、ウルブズとの第3戦では彼の退場が大きな敗因となった。グリーンは相手にマインドゲームを仕掛け、そこで心理的に優位に立つのだが、それはステフィン・カリーという『心理的保証』があることで成り立つ。

2023年11月のウルブズ戦、グリーンはルディ・ゴベアの首を絞めるという蛮行に出た。この時ゴベアは「ステフがいない試合ではプレーしたくないんだ。退場するためには何でもする」と発言している。その真偽は別としても、カリー不在のピンチに自ら仕掛けるマインドゲームで墓穴を掘るのであれば、やり方を変える必要がある。

ウォリアーズはカリー不在でもウルブズと接戦を演じた。課題は多いが、それはチームの伸びしろとも言える。ここでチームが新たな成長を示してカリーの復帰を迎えられるか。大ピンチではあるが、第7シードから優勝を目指すウォリアーズにとっては大きなチャンスでもある。